Information Gap Buster 特定非営利活動法人

イベント(6/13開催)「バリアバリューから学ぶホスピタリティ」の報告(詳細版)


6/13(水)に品川区立総合区民会館「きゅりあん」にて、自社でコールセンターを運営している企業の担当者や行政関係者や関心のある方などを対象に、ユニバーサルマナーの意義や「電話リレーサービス」の実際の導入事例を中心に講演企画を行いました。

まず本企画の主催団体インフォメーションギャップバスター (IGB)理事長の伊藤 芳浩は団体として取り組んでいる社会的課題である「コミュニケーションバリア」のうち「電話」でコミュニケーションする場面において、聴覚障害、言葉の不自由な方、外国人などを含む多様性のあるお客様に対してどう対応すれば良いか、必要な配慮とは何かを考えて欲しいと問題提起を行いました。

特別講演では、ミライロ社長垣内 俊哉氏から、障害のある当事者の視点を価値と捉えるバリアバリューの視点、考え方、社会性と経済性を両立したユニバーサルデザインの事例をについて、お話していただきました。

この中で、社会におけるバリア(環境のバリア・意識のバリア・情報のバリア)、それらを解消するためにミライロ社が行うアプローチを紹介していただきました。

  • 環境のバリアにおいては、多様な方々にとって本当に使いやすい商品やサービスを提供するために、企画・設計段階から当事者の意見を取り入れている。
  • 意識のバリアにおいては、多くの方々は高齢者や障害者への向き合い方について「無関心」か「過剰」に陥りがちである。ちょうどいいのは、さりげない配慮。このさりげない配慮を「ユニバーサルマナー検定」として当事者講師が広めている。
  • 情報のバリアにおいては、店舗や施設のバリアフリー情報を集めるBmapsというアプリを開発・運営している。

世界で最も高齢化が進む日本だからこそ、多様な方々に最も優しい、ユニバーサルデザインなモノやサービスをつくっていく必要性を強調されていました。

次に日本で電話リレーサービスを試行している日本財団電話リレーサービスモデルプロジェクト担当親松 紗知氏から、電話リレーサービスのユーザーの反応を踏まえて、有意性、必要性についてお話ししていただきました。その中で、利用者に対するインタビューの結果の紹介がありました。

  • 誰かに頼ることなく自分で電話をかけられるようになって自立の一歩となった。
  • これまでできなかったことができるようになり生活の質が向上し、行動範囲が広がった。
  • 社会の電話リレーサービスの理解・浸透が必要であると感じた。

そして日本財団がなぜ電話リレーサービスの試行を行なっているのか、その理由の説明がありました。

  • 月間で22,000コールの利用があり、生活の質向上、自立の促進に役立てるサービスである。
  • 電話は公共サービスなので聴覚障害者も平等に使えるべきである。
  • 隠れたニーズを可視化し、世論喚起し、恒久的制度化することを目指したい。

さらに、事例紹介として、実際に電話リレーサービスを利用している2社から、お話ししていただきました。

損害保険ジャパン日本興亜株式会社 お客さま事故サポート部 特命課長 池田 幸一氏より、電話リレーサービスの導入までの流れをお話ししていただきました。

当社のコールセンターは従前から外国語対応していたが手話対応はなく耳と言葉が不自由な方からの事故連絡は専用FAXの設置で対応していたが、要望を受けて、手話通訳での事故連絡の受付を昨年9月に開始したとのことです。

そして、実際の対応内容を紹介していました。
お客さまは夫婦とも耳と言葉が不自由で、事故は相手のある事故。事故の発生状況や車がどう壊れたか、相手の怪我の状況はどうか、相手とどういうやり取りをしているかを確認した。お客さまと手話通訳業者(プラスヴォイス)はテレビ電話で通話し、プラスボイスは弊社コールセンターと電話通話したが、同時通訳でありとてもスムースな事故連絡だったそうです。

電話リレーサービスを導入したことにより、緊急性が高い事故連絡の場面で同時通訳により手続ができることでお客さまの時間、手間、ストレスが大幅に軽減できていると認識しているとのことでした。

そして、株式会社ジェーシービー CS推進部 部長 坂井 紀之氏からはJCB手話デスク導入についてお話しいただきました。JCB手話デスクは、手話を中心としたサービスで、金融業界では日本初の電話リレーサービスを導入された会社になるそうです。

導入背景として、インターネットの普及による無店舗化や個人情報保護法による本人確認の厳正化にともない、聴覚障害の方が取り残されるようになった状況に対して、何かできることがないか悩み、模索していたところ、プラスヴォイス社の存在を知り、手話デスク導入への道が開けたとのことでした。その導入にあたって、電話リレーサービスの立ち位置や個人情報保護の対応などを社内で議論し、導入まで1年以上かかったそうです。

導入前は、手話デスクのようなサービスを求める声が年間10件ほどありましたが、現在、手話デスク利用者は月間30件から50件ほどになっており、導入前にあった声以上にニーズがあったことに驚いたそうです。また、お客様からのみならず、社員からも喜びの声をいただけたりしたということでした。

その後、行政の方や一般企業の方からたくさんご質問をいただき、皆さんの関心の高さが伺われました。

NPOインフォメーションギャップバスターは電話リレーサービスの啓発・普及・制度化を目指して、今後も民間企業・行政関係に電話リレーサービスの必要性について、しっかりと訴求して参ります。また、民間企業・行政関係と電話リレーサービス事業社との橋渡しを行っていきます。

また、本企画は大好評につき、継続して実施することになりました。次回は、2月上旬の土曜日に開催予定です。決まりましたら本Webサイトにておしらせします。どうぞよろしくお願いいたします。

(文責:インターンシップ 白川泰平)

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