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Information Gap Buster 特定非営利活動法人

【調査結果】電話が使えなくて困ったこと・電話リレーサービスを使ってよかったこと


NPOインフォメーションギャップバスターでは、きこえない・きこえにくい人の電話に関する実態を把握するために、会員に対して次のアンケートを実施しました。

(1) 電話を使えなくて困ったこと(*1)
(2) 電話リレーサービス(*2)を使ってよかったこと

*1:電話リレーサービスが使えないケース(サービス提供時間外など)
*2:日本財団が試行中の電話リレーサービス(正式なサービスではない)

電話を使えなくて困ったことの第1位として「緊急連絡ができない」を1/3以上の方が挙げていました。生命に関わる緊急電話(110/118/119など)や経済的損失に関わる緊急連絡(クレジットカード利用停止など)がこの設問に含まれます。

第2位として「リアルタイムで会話できない」を約3割の方が挙げていました。電話の特徴である双方向通信のメリットをきこえない・きこえにくい人は享受できないということです。そのために、様々な経済的損失を被っています。

第3位として「電話しかないところに連絡できない」を約2割の方が挙げていました。Google社が毎年開いている開発者向けの発表会Google I/OのキーノートでGoogle社CEOのサンダー・ピチャイ氏が「アメリカの60%の中小企業がオンラインでの予約システムを持たない。」と言及しているように予約時にまだ電話を使用する必要があるところは多くあります。

第4位として「本人確認ができない」を約1割の方が挙げていました。金融機関などで音声による本人確認を必須としているところはたくさんあります。このため、きこえない・きこえにくい人は電話で本人確認ができず、来店や郵送などの代替手段を強いられ、時間的な損失を被っていることが多々あります。

電話を使えなくて困ったこと

「電話ができなくてこまったこと」の詳細内容は次の通りです。

緊急連絡ができない

  • 急ぎの注文をしたいのに、直前は電話しか受け付けていない。
  • 具合が悪くなって本日の飲み会をキャンセルしたいのに、電話しか受け付けていない。
  • カードを紛失してしまって、カードの利用停止の手続きをしたいのに、電話しか受け付けていない。
  • 宅急便の不在者票が直前にポストに投函されていたので、急いで再配達をしたいのに、電話しか受け付けていない。

リアルタイムで会話できない

  • メールした内容がちゃんと伝わっているか不安になって、確認したいができなくて、結局、意思疎通するまで数十回メールのやり取りをした。
  • 注文した内容について、その場で相手の意見を聞きながら細かい点を決めたいがメールやFAXだと時間がものすごくかかる。
  • 問い合わせしたのに何度メールやFAXをしても返事がこなくて困っている。返事が来ても3日後とか、かなり待たされることが多い。

電話しかないところに連絡ができない

  • 夜遅くに母が倒れて至急帰る必要がり、夜行バスを予約しようと思ったが、電話しか連絡手段がなくて困った。
  • 家族が腹痛に襲われたため、近くのクリニックへ連れて行こうと思って、ネットで調べたが、電話番号しか書いていなかった。とりあえず、行ったところ、学会出席のため、臨時休院だったので、困った。
  • 高速道路を走行中、車が故障したため、ロードサービスに連絡したいが、電話しか受け付けていなくて困った。

これらの事例は氷山の一角であり、まだまだ多くの事例があると考えられます。

次に日本財団が提供している電話リレーサービス(試行中)を利用して良かったことについてもアンケートをとりました。その結果、第一位は、「すぐ用事が終わった」を挙げた方が約4割いました。リアルタイムでコミュニケーションできる電話を利用すれば、メールやFAXだと相手の返事をなかなかもらえず、何日か経って返事をもらうこともよくあります。そういうような場合、電話は非常に重要な手段として活用できます。

第二位として、「すぐ連絡ができた」を挙げた方が1/3以上いました。第一位「すぐ用事が終わった」と似たケースですが、急ぎの用件をすぐ相手に伝える必要があるケースです。第一位の「すぐ用事が終わった」は会話の意味合いが強いですが、第二位「すぐ連絡できた」は情報伝達の意味合いが強いです。

第三位として、「今まで諦めていたことができた」を挙げた方が約2割いました。電話ができなくて、仕事ができなかったり、セミナーを申し込めなかったりなど、機会を作れなかったが、電話リレーサービスを使えるようになって、これらのことができるようになったということです。今般、安倍首相が提言している「一億総活躍社会」のように、すべての方が活躍できる社会をつくっていくためには、こういったバリアをなくしていくことがとても肝要です。

電話リレーサービスを使ってよかったこと

すぐ用事が終わった

  • 通信販売のWebサイトに書いてあることだけでは分からないため、電話リレーサービスを使用して、お客さま窓口に相談することで、納得のいく買い物ができた。
  • メールで問い合わせ後、3日経っても返事がこなかったので、電話リレーサービスで連絡したら、その場で、細かいところをやりとりして、すぐ納得のいく回答をもらうことができた。

すぐ連絡できた

  • カードを紛失した時にすぐ連絡できて、迅速にカード利用停止手続きをしていただけた。
  • 問い合わせしたのに何度メールやFAXをしても返事がこなくて困っている。返事が来ても3日後とか、かなり待たされることが多い。

今まで諦めていたことができた

  • 前から行きたいと思っていたレストランに電話リレーサービスを利用して予約することができた。
  • 学びたいと思っていた講座に事前に電話リレーサービスを利用して内容を細かく確認した上で、申し込むことができた。

以上のように、電話リレーサービスは、きこえない・きこえる人にとって不可欠なサービスです。

NPOインフォメーションギャップバスターは、今後も電話リレーサービスの法制化を目指し頑張ってまいりますので、ご支援・ご応援のほどよろしくお願いいたします。

この記事のリンク | カテゴリ: お知らせ, 電話リレーサービス
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