9月定例会「障害者にとって暮らしやすい情報社会とは」(1)
NPOインフォメーションギャップバスター会員、稲葉まり子さんからの報告です。
インフォメーション・ギャップ・バスターズ(IGB)の講座
「障害者にとって暮らしやすい情報社会」に参加してきました。
パネラーは聴覚障がい × 視覚障がい × 発達障がいをもつ3名の当事者で、
それぞれの分野でエキスパートとして活躍されている方々です。世の中にはこんなバリアがあるんだ!と気づかされたことがたくさんあって、比較対論としてもクッキリしていて、面白い講座でした。
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「ネットショッピングのチラシ」:
視覚障がい者の芳賀さんは、ルーペ(拡大鏡)を持ちかなり顔を近づければ紙のチラシを読めます。ガラケーもPCも使いこなし、読み上げ機能も使いながらネット・ショッピングもよく利用されているとか。
ところが、チラシなどPDF化された情報は時にNGだったりする事があるという。音訳(読み上げ機能?)を使うと画像に組み込まれた文字は「画像」、と認識してしまうため、なんて書いてあるのか読めない。
また、画像処理されていない文字でも黒地に赤い色の文字は読みにくいそうです。普段なにげに閲覧するネット情報にも、こんなバリアが潜んでいるんですね。
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「当事者研究」:
発達障がい者の綾屋さんから発せられたのは耳慣れない言葉「当事者研究」。一般社会においてもこの障がいのありようは馴染み薄ですが、個々の特徴が多種多様なため、当事者でさえ今後はさらに分類や整理が必要だそうです。
だから「当事者研究」。とっても分かりやすくてインパクトがありますね。
様々な知られざる壁が報告されましたが、情報をインプットする時に発生する時間の不一致による障がい、は一言で言い尽くせないほどに複雑に絡み合っているようです。
綾屋さんはこのような現象を、”情報のインプット方法の差異がもたらす社会的コミニュケーションのズレ”と表現していました。
音(声)の出し方がわからない、声を出したくない、ので手話の世界に入ったという綾屋さん。お名前も一風変わってますね。
耳からのフィードバックも難しいという。音声が消えないうちにノートテイクをとらないとアウト、マイクを使って大きな声を出されてもアウト、なんだそうです。
更に不思議なのは、きっちりとしたゴシックなどのようなフォントは解読不能で、コミック・サンズようなバラバラなフォントだと読めるんだとか。
なので、既存の情報保障では負の益を得る事になりかねないという。
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「CMの字幕化」:
聴覚障がい者の松森さんは、18年間の字幕付与活動の成果でようやくCMに字幕がつくようになったということを感慨深く語っておられました。
失聴されていることなど傍目にはわからないほど、綺麗な発話をされていて美しい方です。
地道な活動の末に得た、みんなのための本当のバリアフリーですね。あらゆるバリアを俯瞰する姿勢は、デイズニーランド施設のフリー化にも及んでいました。
可愛いキヤラクター人形がどれも同じ方向を向いて”握手”を求めるスタイルになっているのを知ってましたか?
視覚障がい者が触って楽しめるようにとの配慮がなされていることを、松森さんから伺って私は初めて知りました。
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講座終了後に懇親会があり10数名ほど参集しました。そこでの一コマも印象的だったですねえ。
着席するときに”聞こえる人は挙手願いま〜す”、と言われたので名乗ったのですけれど。視覚障がいの芳賀さんの隣に座ってくださいね、ということだったのです。
手話必須の方だとコミケがとりにくい、ということを初めて体験した次第です。芳賀さんとおしゃべりしてて、障がいの差異というものを実感したけれど、松森さんが尊敬されていると言われていた通り、底抜けに前向きな芳賀さんのキャラに学ぶものがたくさんありましたねえ。
ホント、楽しかったです。
間もなくして,席のチェンジタイムがありました。
今度は、聴者の若い女性ふたり。彼女たちも私と同じく初参加組。テレビ字幕制作に従事するフリー娘(最近、手話を習っている)と視覚&聴覚をサポートする会社の広報スタッフ娘です。
瞳キラキラの頼もしい助っ人たち、奇遇にも帰路の電車も一緒で、ハピーな一日を過ごしたのでしたあ。
主催のIGBさん、有難うございました。
[ご参考] 9/5 9月定例会のお知らせ(障害者にとって暮らしやすい情報社会とは)【報告】9月定例会「障害者にとって暮らしやすい情報社会とは」(1)
【報告】9月定例会「障害者にとって暮らしやすい情報社会とは」(3)