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Information Gap Buster 特定非営利活動法人

9月定例会「障害者にとって暮らしやすい情報社会とは」(2)


一般参加の八巻知賀子さんからの報告です。

「障害者にとって暮らしやすい情報社会とは」
視覚障害、聴覚障害、発達障害から見る情報格差社会への提言を聴くことが出来ました。
聴覚障害と発達障害があり、聴力に関する両方の悩みを併せ持つ私には非常に勉強になった講座でした。
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視覚障害の切実な悩みに触れ、とても良い気づきに繋がりました。
例えば、PDFや画像は文章読み上げソフトが反応してくれないことです。
広告やチラシなどで情報があっても、テキストデータでなければ読み取れないのですね。
テキストPDF、アクセシブルPDFの開発、普及を願います。
または、画像の文字情報をデータ化してパソコンに取り込むOCR?がもっと普及してくれたらいいのかなと思いました。
そして、点字ブロックについては、車椅子やその他の人の意見を聞いた上で考えるべきだったという意見にとても感銘を受けました。
視覚障害者のために、こうであって欲しいという願いは、ほかの当事者のことを考えていなかったという謝意でした。
視覚障害にとって必要な音声が、時には発達障害を困らせるという気づきもあったそうです。
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発達障害からは、提言1.意味付け介助、提言2.マルチモーダル
特に注目したのは、提言1です。
私がずっと思っていたことが、こんなにもわかりやすい言葉でさっくりと説明されたので、非常に感慨深く、今後の自己開示の説明に助かると思います。
発達障害には読み取れない空気感や状況、周囲の感情の流れを、後からでいいから教えてほしいということです。
まさにその通りだと思いました。
相手の感情がわからなくて、くよくよして引きずることが多いのです。
当事者会でも、「自分はあの時、あの人を怒らせたかもしれない…」という悩みの声を聞くことが時々あります。
その時、私自身が感じたその時の状況を説明すると、とてもホッとした表情を見せてもらえることがあります。
質疑応答でも、発達障害者本人に自分で解釈してもらうべきか、教えるべきか、の質問がありました。
気づきのレベルは当事者によって違います。
必ずしも自分で情報を得られるものではなく、教えることで初めて分かることもある。
積み重ねることで、本人の経験や知識と一致すれば自分で解釈できるようになります。
身近な人ご本人が可能な範囲で、工夫して当事者へ伝え続けること。なんですね。
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聴覚処理障害のある身としては、講座に参加し、得た知識を持ち帰るということは、なかなか大変なことです。
頭の中から「音声が消える」前に、耳で聞いたことをメモをしないとならないからです。
今回は要約筆記がありましたが、それもタイムラグがあり、集中できないことがあります。
耳で聞き、メモをし、顔を上げて要約筆記を見ると、思ったより早くスクロールされてしまい、さっき言っていたことを確認できないまま記憶から消えて終わることもあります。
今回の会場のスライドは著作権の問題もあり、写真撮影はもちろん禁止です。
記憶に残すのは良い、目に焼き付けるのも良い、耳に残すのも良い、しかし、映像や音声を記録媒体に残せないことが、発達障害には相当な不利だと思いますね。
コンディションの悪い時は、聞いたものが頭に何も残らないという悲しい時もありますので、私はできるだけメモを残したいのです。
前から思ってはいましたが、やはりパソコンを用意して速記や要約筆記を習得できたらいいのかなと思いました。
スマホのフリック機能は打ち間違いや無駄な細かい動作もあり、一瞬一瞬が勝負の時には不便ですね。
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聴覚障害では、字幕の普及が課題だと思いました。考慮しているメーカーや企業もありますが、テレビ本体やテレビ局の字幕への意識が全体的に低いと感じます。
事例にも出ましたが、私の経験も交えます。
テロップと字幕のバランスの悪さ、酷い時には出演者の顔に字幕がかぶっていたりいます。
ドラマでこんな目に遭うと最悪だということは、健聴者にも想像できますよね。
リモコンによっては字幕ボタンがわかりづらかったりします。
また、生放送の際の字幕の遅れ、これはある程度仕方が無いですが、生放送の最中に流れるVTRにも同じ現象が起きるのは謎でしかありません。
宿題として、自宅のリモコンでテレビの字幕機能を使ってみて欲しいとのことです。
メーカーや機種によっては、字幕ボタンどれ?メニューのどこ?とわかりづらかったりします。
また、CMという宣伝に何百万人という聴覚障害の消費者を対象にしていないという点が印象的でした。
総務省では、2020年には全てのCMに字幕をつけるよう検討会を立ち上げるとのことです。
音声なしのCMと音声・字幕付きのCMを視聴し、わかり易さの違いを体験することができました。
私はテレビを見る時は基本的には字幕をつけているのですが、親戚やお客さんに字幕が邪魔だと言われて、消すことがあったことを思い出しました。
画面の外に字幕のスペースを作ってくれるとありがたいですね。
その機能を搭載しているのが、SHARPのAQUOSテレビだそうです。
私のスマホはAQUEOUS PHONEですが、確かにテレビの字幕が画面の枠外に表示されています。
書き足りないこと、まだまだありますが、とても素晴らしい講座でした。
私自身、できるだけ多くのことを心に頭に刻み込み、持ち帰れるよう頑張りました。
視覚障害、聴覚障害、発達障害に共通する、
コミュニケーション障害、情報障害による情報格差は、障害の有無に関わらず、当事者だけが乗り越えなければならない障害ではありません。
立場、環境が変われば誰でも情報弱者になり得るのです。
社会全体で乗り越えなければならない、社会的な障害だということです。

[ご参考] 9/5 9月定例会のお知らせ(障害者にとって暮らしやすい情報社会とは)
【報告】9月定例会「障害者にとって暮らしやすい情報社会とは」(1)
【報告】9月定例会「障害者にとって暮らしやすい情報社会とは」(2)

この記事のリンク | カテゴリ: 当事者研究, 講演・セミナー実施報告
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