Information Gap Buster 特定非営利活動法人

【声明】大阪府立生野聴覚支援学校児童事故裁判大阪高裁判決に関して

2018年2月1日、大阪市生野区において、大阪府立生野聴覚支援学校(ろう学校)の児童、井出安優香さん(当時11歳)が下校途中の歩道上で交通事故に遭い、尊い命が失われるという痛ましい事故が発生しました。

2025年1月20日、大阪高等裁判所は、本件に関する損害賠償請求控訴事件において、安優香さんの逸失利益(事故がなければ将来得られたはずの収入)について、全労働者平均賃金を基準とする算定を認める判決を下しました。この判決に関してNPO法人インフォメーションギャップバスターは下記の通り声明を発表いたしました。


大阪府立生野聴覚支援学校児童事故裁判大阪高裁判決に関する声明

2025年1月25日

NPO法人インフォメーションギャップバスター

理事長 伊藤 芳浩

私たちNPO法人インフォメーションギャップバスターは、大阪高等裁判所が井出安優香さんの逸失利益を全労働者の平均賃金の100%と認めた判決を高く評価し、歓迎いたします。

今回の判決は、障害を理由に労働能力や将来の可能性を低く見積もることは適切でないという、重要な社会的意義を含む判断です。逸失利益を障害の有無によって不当に低く見積もることは、障害者の権利を制限するものであり、偏見や差別を助長しかねません。私たちは、障害者の可能性が正当に評価される社会こそが、公平で持続可能な社会の基盤になると考えています。

現在、障害者の働く場は広がりつつあり、国や自治体だけでなく民間事業者に対しても、障害者への「合理的配慮の提供」が義務づけられています。こうした時代の流れの中で、企業や組織には、障害の有無にかかわらず人々を平等・公平に評価し、差別をなくすことが求められています。今回の判決は、このような時代に即した判断だと言えます。

企業や組織には、人権デュー・ディリジェンス(人権DD)を通じて、障害者を含むすべての人々を正当に評価し、公平に扱う仕組みを構築する責任があります。逸失利益の適切な評価をはじめ、障害者が障害のない人と同じように働きやすく、活躍できる環境を整えることは、企業の信頼性を高めると同時に、社会全体の発展にもつながります。

私たちNPO法人インフォメーションギャップバスターは、障害の有無にかかわらず、すべての人々が平等・公平に評価される社会の実現を目指し、これからも活動を続けてまいります。

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