Information Gap Buster 特定非営利活動法人

国及び地方自治体の障害者雇用水増しに対する声明


NPOインフォメーションギャップバスターは加盟団体として、DPI日本会議が出した国及び地方自治体の障害者雇用水増し問題に対する声明を支持します。

障害者の雇用・就労・定着化にはコミュニケーションバリアなどの社会的障壁があります。インフォメーションギャップバスターは、今回を契機に、これらの社会的障壁をなくし、障害者の雇用と障害者が安心して働くことができる職場環境と労働条件の整備を促進するために、DPI日本会議と連動して、働きかけていく所以です。

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国及び地方自治体の障害者雇用水増しに対する声明

以下、声明全文

2018年8月24日

特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 平野みどり

国及び地方自治体の障害者雇用水増しに対するDPI日本会議声明

1.私たちDPI(障害者インターナショナル)日本会議は全国98の障害当事者団体から構成され、雇用・労働分野も含めて、社会のあらゆる場面で障害の種別や程度に関わりなく障害のある人もない人も共に生きることができるインクルーシブな社会(共生社会)の実現に向けて運動を進めている。特に障害者の雇用促進や働き続けることができる職場環境や労働条件等の整備は、私たちにとっての重点課題のひとつであり、障害者権利条約を基本としつつも、当面は、改正障害者雇用促進法と同法に基づき策定された障害者差別禁止指針と合理的配慮指針の実効性の確保が必要としてきた。

2.しかし、今年8月に発覚した中央省庁や地方自治体による障害者雇用の水増し問題が事実であれば、こうした課題の検証以前の問題であり、民間部門に対して、垂範して障害者雇用を促進すべき責務を担う公務部門の信頼を大きく損なう極めて重大かつ深刻な問題である。「水増しされた職員数は1000人を超える」とも報じられている。これだけ大規模な障害者の雇用機会が40年以上に渡って失われたわけであり、障害者の権利を大きく損ねる行為として厳しく糺されなければならない。ましてや公務部門には課せられていない法定雇用率未達成の民間部門に課せられている納付金制度を考慮すると官優遇との誹りを免れない行為ともいえる。

3.この問題を受けて、厚生労働省は、中央省庁の実態を解明するための調査を実施するとしているが、それだけでは不十分な対応である。
厚生労働省は、障害当事者も含めた第三者委員会を設置し、中央省庁の調査と並行して、地方自治体を所管する総務省と連携して地方自治体が厚生労働省に雇用していると報告した障害者の障害状況及び障害者として法定雇用率に算定した根拠に関する調査も実施し、公務部門における障害者雇用率の実態を明らかにする責務がある。

4.また、国家公務員試験における障害者の採用試験に関する応募要件や受験するための配慮(合理的配慮)は公表されていないものの、地方自治体は、そのホームページの職員募集において障害者採用に関する募集要綱等を掲示している。今回、水増ししたとされている地方自治体の一部は、採用試験の受験資格として「介護者なしに職務の遂行が可能であり、かつ、自力で通勤できる者」と明記している。また、「活字印刷による筆記試験及び口頭試問による面接試験に対応できる」ことや「点字受験はできません」としている地方自治体もある。こうした現状は、障害者が必要とする合理提配慮を確保しない差別規定であることから、厚生労働省は、国及び地方自治体の障害者採用試験の受験資格と受験時の合理的配慮の提供に関する調査の実施と公表することも必要である。

5.今回の問題を契機として、DPI日本会議は、障害者の雇用と障害者が安心して働くことができる職場環境と労働条件の整備を促進するために、以下の対応を国に強く求める。
(1)障害者の募集、採用試験、採用後、退職及び退職後に関して、厚生労働省が定めた障害者差別禁止指針と合理的配慮指針に基づき公務部門の実態を調査し公表すること。
(2)調査結果の検証と再発防止等の対応を検討するために障害当事者を構成員とした第三者委員会を設置すること。
(3)障害者が働くために必要な介助や情報保障等を確保するための人的配置及び職場環境や労働条件の改善を進めるための施策を実施すること。また、そのために障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスも活用できるように制度改正を進めること。
(4)法定雇用率の対象となる障害者の範囲については、障害者手帳の所持といった医学モデルではなく障害者権利条約に基づき社会モデルとしての観点から見直すとともに法定雇用率の設定については障害者の範囲の見直しと他国の状況も加味した検討を進め障害者雇用促進法の抜本改正を行うこと。
(5)障害者総合支援法に基づく就労支援が目的とする一般就労を実現するために一般就労を困難としている社会的要因(障壁)の検証と必要な施策を検討すること。
(6)第三の働き方とされる社会的企業および社会的雇用など、障害者の新たな働く場としての制度化の検討を進めること。
(7)国は、地方自治体の財政状況や地域事情によって地方自治体が確保する合理的配慮に関する地域間格差が生じないための必要な措置を講じること。

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