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Information Gap Buster 特定非営利活動法人

【お知らせ】透明マスク(トールマスク)について


感染対策について考えよう!‐私たちにできることは何か?‐ 透明マスク(トールマスク)について

【注意事項】

  • この記事は2020年5月9日(土)時点で確認できている内容です。最新の研究結果やデータによっては、内容が変わる可能性がありますのでご注意ください。
  • 非営利な目的の範囲において、透明マスクの作り方と型紙は自由にご使用ください。
  • 今回紹介した手作りの透明マスクについて、医療検証は行われておりませんので、お取扱いは感染対策に関する十分な知識のもと、あくまでも代替手段の1つとしてご使用いただきますようお願いします。

【はじめに】

新型コロナウイルスが全国で猛威を振るっております。その中で、会見に手話通訳がつき、全国各地の報道などで透明マスクについても取り上げられるようになりました。

新型コロナウイルスの感染経路は、「飛沫感染」と「接触感染」の2つが考えられています。現時点では、空気中を漂うウイルスを吸い込むことで感染する「空気感染」は起きていないと考えられています。そもそも、マスクで新型コロナウイルスの感染を予防することができるのでしょうか。残念ながら、マスクの感染予防効果は限定的です。なぜなら、マスクのフィルターは、医療用のN95マスクなどを除き、大半が新型コロナウイルスの粒子径約0.1μm(0.000001m)よりも大きいからです。また、顔とマスクの隙間からウイルスが入り込んでしまうこともあります。しかし、咳やくしゃみなどの飛沫をとらえることは可能なので、マスクを着用することで飛沫感染や接触感染のリスクを減らす効果はあります。


※補足

飛沫感染: 感染者の咳、くしゃみなど(飛沫)により、唾液と共にウイルスが放出され、他の人がそのウイルスを口や鼻から吸い込むことで感染

接触感染:感染者が咳やくしゃみを手で押さえたあと、ドアノブや電車やバスのつり革など周りの物に触れることでウイルスが手につき、感染していない人がそこに触るとウイルスが手につくことで、その手で鼻や口に触ったり目をこすったりすることで感染


新型コロナウイルスに感染しても30~50%が無症状と言われているので、マスクは自分を感染から守るためではなく、主に他の人に感染させないために使用することを認識する必要があります。マスクの着用も大事ですが、それ以上にこまめな手洗い、消毒、感染しやすい環境の三密(密閉空間・密接場面・密集場所)の重なりを避けるなどの感染対策が重要になります。


※補足

密閉空間:換気されていない閉め切った部屋など

密接場面:近距離(約2m程度)での会話や発声

密集場所:多くの人が集まる場所


その状況の中で、透明マスクはどのように扱えばいいでしょうか。かつて、「ルカミィ」という透明マスクが製造販売されていましたが、現在は中止されています。

http://www.netmelon-inc.com/product_lookatme.html

透明マスクはある程度、飛沫感染と接触感染のリスクを減らすことは期待できますが、通常のマスクと同様に感染防止効果は限定的であると認識する必要があると考えられます。

似たようなものとしてフェイスシールドがあり、物資不足もあってクリアファイルなどを材料にした作り方が多く紹介されています。ですが、手作りの透明マスクはまだまだ少ないのが現状です。ちょうど、考案した方から透明マスク(トールマスク)の情報をいただきましたので、つくり方(型紙あり)を含めて紹介します。考案者からのコメントも併せてご覧ください。また、2人のろう者が、この透明マスクを実際に着用した写真、使用具合や使用例も挙げます。


【つくり方・型紙】

・つくり方・型紙(原寸型紙:A4):PDFリンク

LINE経由で本ページを開いた場合、PDFが文字化けする場合があります。
その時は本ページのURLをSafariやchromeなどブラウザから直接開いてご確認下さい。

 

 

 

 

 

 

 


【考案者から

新型コロナウィルス感染症の流行により、マスクの使用が強く求められるようになりました。自分の身を守るため、そして大切な家族や友人、周囲の人たちを守るため、マスクはとても大切です。

しかし、口元の動きもコミュニケーション手段の一つとする聴覚障害(児)者にとって、それを覆い隠してしまうマスクは“障害”になるものでもあります。実際、聴覚障害者本人や手話通訳者、ろうあ相談員や聾学校教師などから、マスクのため意思疎通が困難であると感じていることを聞いています。そして、それと同時に耳にするのはコミュニケーションのためにやむなくマスクを外すことへの不安であり、その狭間で葛藤しているとの声です。

生命の安全をとるか、円滑なコミュニケーションをとるか…。本来、これは不安を抱えながら迷い選ぶものではなく、どちらも共に得られるべきものであるはずです。このような不安や迷いを少しでも減らすことができたなら…。その一心で考え出したのが透明マスクです。

このマスクは、感染予防上決して万能なものではありません。しかし、優れた点もあります。一つに、100円ショップやホームセンターなどで購入できる安価な材料と、どこの家庭にでもある身近な道具で作ることができるという点です。縫製などの手間もなく、製作時間が30分程度と短いのも利点です。さらに、小さく折りたためるので携帯にも優れており、何より顔の正面を遮るものを極力少なくしたことから、あなたの表情や伝えたい思いを“よく透し“ます。

一方、残念ですがこの透明マスクはより良いマスクが現れるまでの代替品でしかないと考えています。新型コロナウィルス感染症に限らず今後も様々な感染症が流行することでしょう。そういう状況に向け、聴覚障害者にも適した、より効果的で安全性の高いマスクの開発が求められるのではないでしょうか。どのような場合でも聴覚障害者と彼らを取り巻く周囲の人たちが、不安に怯えることなく、いきいきとコミュニケーションをとることができる、そういうマスクが早急に作られることを願っています。


使用具合】

  • 吉田麻莉(ろう者)

NPO法人インフォメーションギャップバスターインターンシップ

日本聴覚障害公務員会運営委員、神奈川県聴覚障害者連盟青年部長など幅広く活動し、いくらをこよなく愛する1児の母

聴覚障害者に関わるマスクの問題は多方面で取り上げられていますが、実生活でのマスクの弊害は「コミュニケーションにおいての情報が不足してしまう」ことです。

つまり、表情や口型を会話の情報としている聴覚障害者にとって、通常のマスクは誤解を与える・招くこともしばしば。そういった点で表情や口型が見えてかつ機能的に同等であれば、間違いなく透明マスクは聴覚障害当事者だけでなく、周りの人達にも必要不可欠なものとなります。

透明マスクのビニール素材は曇りやすい問題点が挙げられていますが、鼻あてがあるこの透明マスクは空気の逃げ道を作り、曇り止めの効果もあって、手話での会話でも全体が曇ることなく使用できました。鼻あてがないこの透明マスクは、空気の逃げ道のための隙間調整に手間取るものの、鼻あてがない分として見た目が優れています。ガーゼマスクやサージカルマスクは軽いためズレやすく、頬に跡が付きやすく、また化粧も落ちやすいですが、この透明マスクはその心配が不要ですので、女性にも嬉しい点ではないでしょうか。

フェイスシールドは口元全体を覆えないという不安点があるのと比較し、材料で特に軟質カードケースのものを使用したこの透明マスクはビニールに近いので、自分の顔のサイズにフィットして作ることができ、機能的にも非常に優れていると思います。


【調剤薬局での使用例】

  • 吉田将明(ろう者、薬剤師)

NPO法人インフォメーションギャップバスター理事

手話による医療通訳推進プロジェクト担当

コーヒーをこよなく愛し、サウナがマイブーム(現在は自粛中…)

私は神奈川県内にある調剤薬局で、薬剤師として勤務しています。最近は新型コロナウィルスのため、患者さんをはじめ、スタッフ皆さんはほぼ全員マスクをしています。職場では皆さんの理解もあり、私に話しかける時はマスクを外してくれますが、患者さんは非常に難しいです。また、調剤薬局にいらしてくる手話が必要な聴覚障害をもつ患者さんからも、やむを得ないとはいえマスクにはうんざりしているとの声をよく聞きます。

その状況の中で、この透明マスク(トールマスク)のことを知りましたので、実際に使用している例を紹介したいと思います。通常のマスクの効果は限定的ではあるものの、ある程度の飛沫感染や接触感染のリスクを減らす効果は期待できます。この手作り透明マスクも、使用する場合は同様に留意して扱う必要があります。フェイスシールドでもいいのですが、その見た目から新型コロナウイルスだという物々しさがあり、患者さんに威圧感を与えてしまう部分もあります。そのため、状況に応じた使い分けも必要だと思います。あわせて、こまめな手洗い、消毒、部屋の換気などの感染対策も必要になります。まず、透明マスクをアルコールで消毒してから着用します。鼻あてがある方が高い密着感があります。

調剤薬局では写真のように、透明のパーテーションをカウンターに設けて、十分に距離を取りながら患者さんに対応しています。手話が必要な聴覚障害をもつ患者さんに対応する場合も同様に、状況に応じて透明マスクをして十分な距離を取りながら、手話で対応しています。口の動きが確認できて、私の話す内容がよくわかると好評でした。手話が必要な聴覚障害をもつ慣れている患者さんでは、マスクがあっても十分にコミュニケーションがとれる方もおり、逆に口の動きを強く求めている方もいるため、本当にケースバイケースで対応していくことが必要です。

新型コロナウイルスの感染疑いのある患者さんは、さらにフェイスシールドやゴーグル、手袋を着用して対応しつつ、調剤薬局の外で待機していただいています。その際に、聴者の場合は電話でコミュニケーションをとります。手話が必要な聴覚障害をもつ患者さんは、調剤薬局のタブレットを用いてビデオチャットもしくは窓ガラス越しにて手話で対応することになります。様々な現場の状況に応じて、感染対策をとりつつ、きちんと情報を提供していくそれぞれの面を、うまく両立させることが必要だと思います。

会見で手話通訳がつくようになったのは素晴らしいことですが、医療現場を含めて手話通訳者の感染対策の状況はどうしているのでしょうか。様々な報道を見ると、マスク着用ばかり目がいっているような印象を感じます。今は、聴覚障害者を取り巻く医療者や手話通訳者、ろうあ者相談員など様々な関係者は大変な時です。きちんと支援するために、セルフアドボカシーとして自分の身を守りつつ、それぞれの役割を遂行する必要があります。そのためには遠隔手話サービスなどを含めた様々なツールを用いつつ、こちらの手作り透明マスクは代替品ではあるものの、物資不足もある中で数ある選択肢の1つになりうると思います。感染対策の知識を十分に身に付け、様々な場面に応じて、最善のとなる対応を皆さん1人1人が考えていくことが大事ではないでしょうか。

透明マスクはハード面でのバリア解消に繋がりますが、問題はそれだけでしょうか。コミュニケーションにおけるソフト面でのバリアが、意外と見落されているように思います。たださえ聴覚障害者は普段から、音声情報が入りにくい状況の中で生活しています。今はコロナ渦により皆さんも余裕がなくなりつつあり、聴覚障害をもつ方へどこまで対応できているのかの懸念もあります。そこも皆さんができることについて、1人1人が考えていくことが大事ではないでしょうか。

一刻も早く新型コロナウィルスが収束することを心から願っております。


【薬師寺道代前参議院議員からのコメント】

新型コロナ感染症は人と人とを分断し、身体だけではなく心まで蝕んでしまう恐ろしい病気です。

たかがマスク一つ、耳が聞こえている者の世界は何も変わらないと思われていましたが、現実はどうなのでしょう。最近、この様な風景をよく目にします。コンビニに買い物に来た若者がイヤホンをしている。レジでお店の従業員が何かを確認しようと声をだしますが、マスクで相手には聞こえない。結局、マスクを外して対応することになる。また、表情も見えないために、相手の思いが伝わらず、諍いを起こす場面もしばしば。聞こえる我々でさえも、このマスクの壁を超えるのは難しいことが分かってまいりました。ましてや口形や表情が言葉の一部である手話言語や口話をコミュニケーション手段となさっていらっしゃる聴覚障害をお持ちの皆様は、さらに日常生活も混乱を極めていらっしゃることでしょう。

こんな時こそ、一人一人が知恵を絞り、自分の出来ることで社会貢献を行っていくことは必要です。この透明マスク(トールマスク)も、障がいの壁を超える道具としてだけ活用されるのは勿体ない。コロナで分断された人々の心をつなげ、蝕まれた我々の心を癒すツールになってくれることを大いに期待いたしております。


【秋山愛子 国連アジア太平洋経済社会委員会 社会問題担当官 (タイ・バンコク在住)からのコメント】

全世界人口の約5.3パーセントの人が聴覚を失っている状態です。アジア太平洋の障害者人口は6億9千人とされていますので、単純計算すると3600万人いることになります。

今回、コロナ禍が世に知られるようになった2月中旬から、私もSNSを通じ透明なフェイスガード、あるいは透明マスクの、手話利用者、通訳者への有効性を訴えてきました。興味深いのは、最初にメッセージを上げた途端、瞬く間に、ネパールのろう者が「これはどこで手に入るのか?ネパールでも手に入るのか」と質問メッセージを送ってきたことです。コロナ禍によって、ネパールのろう者が、喉から手が出るほど、トールマスクのようなマスクを欲しているのが伝わってきました。身を守ることもさりながら、ネパールにあるいろいろな手話も、急激に語彙を増やさなければならない状態です。

また、バンコクではソーシャル・ディスタンスを保ちながら、ビジネスを続けるため、デパートなどでトールマスクとは読んでいませんが、フェイスガードをつけるのが当たり前になってきています。私も使っています。

トールマスクは鼻あてがあるので、空気が逃げるので、暑い気候の多い国では、余計便利だと思います。

障害者権利条約第9条アクセス、第11条リスクのある状況、アジア太平洋仁川戦略ゴール3のアクセシビリティ、ゴール7の障害インクルーシブ防災に照らし合わせても、こう言った道具は、障害者権利実現にとってとても大切だと信じます。

(本コメントはあくまで個人的見解であり、所属団体を代表するものではありません。)


【参考資料】

⽇本環境感染学会:「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第2版)」.http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID-19_taioguide2.pdf(参照:2020-5-9)

食の安全・安心財団:「新型コロナウイルスとマスクの効果について」.http://anan-zaidan.or.jp/news/singata020131.pdf(参照:2020-5-9)

厚生労働省:「新型コロナウイルス感染症について」.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html#kokumin(参照:2020-5-9)

「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」.https://www.covid19-yamanaka.com/(参照:2020-5-9)

[News] About Transparent Mask(Thor Mask)

[News] About Transparent Mask(Thor Mask)(Nepal version)

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