Information Gap Buster 特定非営利活動法人

【お知らせ】手話施策推進法成立に関する声明文

手話施策推進法成立に関する声明文

NPO法人インフォメーションギャップバスター
2025年6月18日

2025年6月18日(水)17時40分頃、衆議院本会議において「手話に関する施策の推進に関する法律案(手話施策推進法)」が全会一致で可決、成立いたしました。この歴史的な瞬間を目の当たりにし、深い感慨とともに受け止めております。

長年にわたり手話の普及と権利保障のために尽力されてきた全日本ろうあ連盟をはじめとする関係団体の皆様、そして法案成立に向けて熱心に取り組まれた議員の皆様に、心から敬意を表し、深く感謝申し上げます。


<法案形成への取り組み>

NPO法人インフォメーションギャップバスターは、障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟が実施した当事者団体ヒアリングに数回にわたって参加し、主に下記の10項目について意見を述べてまいりました。

  1. 手話の法的地位の確立 – 手話を正式なコミュニケーション手段として法的に認め、ろう者の権利として保障すること
  2. 手話通訳士の国家資格化 – 手話通訳士の待遇を改善し、認知度を上げるために、国家資格制度を導入すること
  3. 手話通訳の待遇改善 – 手話通訳の支援を目的とし、手話通訳報酬に対する補助金を提供すること
  4. 手話学習機会の拡大 – 教員養成プログラムやジョブコーチなど手話使用者とコミュニケーションをする関係者の養成カリキュラムに手話の習得を含めること
  5. 手話通訳の専門性向上 – 医療、司法、教育、外国人向けなどの専門分野において、手話通訳育成プログラムに対する補助金を提供すること
  6. 手話学習環境の整備 – ろう児や聞こえる親が手話を学ぶことのできる環境の整備、および、それを担う手話支援員の養成を行うこと
  7. 情報アクセスの平等化 – 政見放送やテレビ放送のうち公益性の高い番組(ニュースなど)の手話放送を必須化し、ろう者が平等に情報にアクセスできるようにすること
  8. ICT技術とAI技術の活用 – 遠隔通訳やアバター通訳を人手不足を補うために積極的に活用しつつ、ろう者の人権侵害とならないよう、当事者の意見を十分に反映すること
  9. ろう通訳の資格化 – ろう通訳者の専門性を高めるために、資格制度を導入し、ろう通訳者の質を向上させること
  10. 当事者の意見反映システム – 当事者にとってプラスな活動にのみ予算が活用されるよう、当事者の意見が確実に反映される仕組みを整えること

<法律の基本的施策への期待>

今回成立した手話施策推進法では、以下の基本的施策が定められております。

  • 機器やサービスの開発、規格の標準化、使用者の入手支援
  • 防災、防犯および緊急通報のための仕組みや情報収集機器設置の推進
  • 障害者の自立生活や社会生活における意思疎通支援者の養成・確保
  • 障害者への情報提供、相談対応
  • 国民の関心や理解を推進する活動や広報
  • 調査研究の推進

これらの施策が実効性を持って推進されることで、ろう者をはじめとする手話使用者の社会参加がより一層促進されることを強く期待しております。

私たちが提言してきた諸項目が法律本文に適切に反映されましたことは、大きな前進であると評価しております。今後は、これらの理念を実効性のある施策として具現化するため、関係団体や行政機関との連携を深めながら、適切な予算措置の実現に向けた継続的な働きかけを行い、この法律が真に当事者のためになる形で運用されるよう努めてまいります。


<今後への決意>

この法律の成立は、ゴールではなくスタートです。真に重要なのは、これからの具体的な施策の実施と、その効果的な運用です。NPO法人インフォメーションギャップバスターは、これまで以上に当事者の声を大切にし、手話を使用するすべての人々が安心して社会で活躍できる環境づくりに全力で取り組んでまいります。情報格差が解消され、すべての人が対等にコミュニケーションを享受できる共生社会の実現こそが、私たちの目指すべき理想であります。この崇高な目標に向かって、私たちは不断の努力を継続してまいります。

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