【ご報告】大阪・関西万博開会式テレビ中継における手話通訳等の表示に関する要望
2025年4月12日、EXPO2025大阪・関西万博の開会式が開催され、その模様はNHK及び民放5局で生放送等されました。多くの国民が注目したこの歴史的なイベントでしたが、放送画面には字幕が表示されたものの、手話を第一言語とする視聴者にとって不可欠な手話通訳(および、ろう通訳)が表示されませんでした。
この事態は、私たちがこれまで訴え続けてきた情報アクセシビリティの確保、特に東京2020大会閉会式等で実現した手話通訳付き放送の継続という観点から、大きな後退であり、強い危機感を抱かざるを得ません。
つきましては、本日4月14日、私たちインフォメーションギャップバスター(理事長:伊藤芳浩)は、手話推進議員連盟(代表世話人:永野裕子様)と共同で、内閣総理大臣・総務大臣・内閣官房長官・国際博覧会担当大臣(大阪・関西万博担当)・公益社団法人2025年日本国際博覧会協会・日本放送協会(NHK)・一般社団法人日本民間放送連盟(民放連)に対し、「大阪・関西万博開会式テレビ中継における手話通訳等の表示に関する要望書」を提出いたしました。
この要望書では、万博の開閉会式をはじめとする国民的重要行事のテレビ放送において、手話通訳者を画面上に表示する措置を、法的義務であり合理的配慮として確実に講じていただくよう強く求めています。私たちは、字幕のみでは情報保障として不十分であること、手話が言語としての権利であること、そして情報アクセス権の保障が障害者権利条約や国内法で求められていることを改めて強調し、万博が掲げる共生社会の理念を実現するためにも手話通訳表示が不可欠であると訴えています。
私たちは、今回の要望提出に際し、以下の点を特に皆様にお伝えしたいと思います。
「情報アクセシビリティの確保は、障害の有無にかかわらず誰もが参加できるインクルーシブな社会を実現する上で不可欠です。大阪・関西万博のテーマ『いのち輝く未来社会のデザイン』は、人々の多様性を尊重し共生する未来社会像を掲げています。開閉会式といった万博の重要イベントの放送に手話通訳・ろう通訳を付与し明示することは、このテーマを具体的に体現し、国内外に対して日本がめざす共生社会の姿を示す絶好の機会となり得ます。万博を契機として、今後あらゆる国民的行事の放送において障害の有無による情報格差が生じないよう取り組むことこそ、未来社会にふさわしいメディアの在り方でしょう。」
私たちは、今回の要望が受け入れられ、放送における情報アクセシビリティが前進することを強く願っています。
内閣総理大臣・総務大臣・内閣官房長官・国際博覧会担当大臣(大阪・関西万博担当)・公益社団法人2025年日本国際博覧会協会への要望書
日本放送協会(NHK)・一般社団法人日本民間放送連盟(民放連)への要望書