Information Gap Buster 特定非営利活動法人

【ご報告】城西国際大学講演『多様性を受容する社会と日本経済~「違い」を力に変え、未来を拓く~』

2025年5月16日(金)、城西国際大学紀尾井町キャンパスにて、当NPO法人インフォメーションギャップバスターの理事長 伊藤芳浩による講演「多様性を受容する社会と日本経済 ~「違い」を力に変え、未来を拓く~」を開催いたしました。本講演は、城西国際大学の大学院 国際アドミニストレーション研究科の「日本企業研究」という科目の一環として実施され、大学院生39名が履修生として参加しました。講演は、学生たちが多様性について深く理解し、それを自らの力に変えて未来を切り拓くための意識と行動を促すことを目的として実施いたしました。

当法人理事長の伊藤は自身の経験を踏まえ、まず「多様性」や「社会のバリア」について学生に問いかけることから講演を始めました。生まれつきの聴覚障害を持つ当事者としての視点から、情報アクセスの困難さや社会参加を阻む様々な壁について具体的なエピソードを交えてお話ししました。また、障害者雇用率や情報アクセシビリティに関する国内外のデータを提示し、日本社会における多様性受容の現状と課題を客観的に示しました。

 

さらに、多様性を包摂することが、イノベーションの創出や企業成長を加速させる源泉となり得ることを、マイクロソフトやOXO社、国内の資生堂、大橋運輸といった企業の先進的な取り組み事例と共に解説しました。特に、企業がインクルーシブな環境を整備することの経済的意義や、チームの信頼感向上につながる点も強調しました。テクノロジーの進化がコミュニケーションバリアフリーにもたらす可能性にも触れ、電話リレーサービスやAIを活用した支援技術などを紹介しました。最後に、学生一人ひとりが「チェンジメーカー」として、多様な人々と積極的に関わり、情報発信していくことの重要性を訴え、具体的なアクションプランを提示しました。

講演後のアンケートでは、多くの学生から深い感銘と新たな気づきを得たという感想が寄せられました。

ある学生は、以下のように述べ、これまで意識していなかった社会のバリアや困難を抱える人々の存在に気づき、視野を広げるきっかけに繋がったと考えています。

  • 今の社会の現状といろんな不便を感じている人たちのことを確かに感じました
  • 実は今日まで、私は障害者にこんなに多くの困難があることに気づいていませんでした。私にとって、これは世界の視点を観察する授業です

また、以下のような声からは、講演が多様性理解を深める上で非常に効果的であったことがうかがえます。

  • 今日の授業でたくさんのことを学び、多様性についてより深く理解することができました
  • 今回の講演を通して、多様性や障害者福祉についての理解が深まり、特に企業におけるインクルーシブな取り組みの重要性を実感しました

そして、「具体的な事例や経験談から、現場のリアルな課題や工夫を知ることができ、大変勉強になった」との言葉が寄せられました。
当事者の生の声により、学生たちが今後活動するにあたってのモチベーション向上に繋げることができたのではないかと考えています。

企業における多様性の重要性についても、多くの学生が新たな認識を得たようです。

  • 多様な背景を持つ人々が共に働く環境づくりにおいて、企業が果たす役割は非常に大きいと感じました
  • 私は、企業が障害者や外国人を採用することは、組織が多様性を尊重していることの表れであり、チームの信頼感を高めることにもつながると考えます
  • 社会の多様性とのバリアを深く理解しました。会社に対して大切な経済的な意義もあります

といった感想は、講演が伝えたかった「違いを力に変える」というメッセージが学生に届き、多様性の社会的・経済的意義への理解が深まったことを示しています。

さらに、「日本の社会は障害者にとても優しく、今もさらに充実した政策や施設を追求しています。障害者への配慮は非常に重要だと思いますし、これからもこの分野の情報により注目していきたいです」という意見もあり、社会の取り組みへの関心が高まった様子も見て取れました。

今回の当法人理事長 伊藤芳浩による講演は、学生たちが多様性の本質、日本社会の現状と課題、そして多様性を包摂することの多面的な価値について、具体的かつ深く学ぶ貴重な機会となりました。特に、当事者の視点からの話、具体的な企業の取り組み事例、そして学生自身への行動喚起は、参加した学生たちの心に強く響き、新たな気づきや問題意識、そして行動への意欲を喚起できたと考えています。

寄せられた感想からは、多くの学生が「違い」を理解し尊重することの重要性を再認識し、インクルーシブな社会の実現に向けて自分たちが果たすべき役割について考えるきっかけを得たことが明らかです。本講演は、まさに「違い」を力に変え、未来を拓くための第一歩となる有意義な時間となりました。

今後も当法人では、このような啓発活動を通じて、多様性を受容する社会の実現に向けて取り組んでまいります。城西国際大学の皆様、そして講演に参加してくださった学生の皆様に心より感謝申し上げます。

【城西国際大学 大学院 国際アドミニストレーション研究科 大江宏子教授のコメント】

伊藤先生には、10年ぶりに私のクラスでご講演をいただきました。その間に地道にNPO代表や政府の委員として活動してこられた伊藤先生のご活躍ぶりをつぶさに伺うことができました。様々な多様性と包摂性促進のための活動と、そのことが社会に与える先導的役割に感銘を受けながら、学生とともに拝聴することができて、素晴らしい機会となりました。 当日は大学院生39名全員がワークショップに参加させていただきました。全員が中国からの留学生です。伊藤先生の具体的なデータやファクトに基づく多様性の経済的効果や職場に対する意識の伝播のインパクトについて、学生たちも多くのことを学んだようです。 彼らも外国籍の学生として日本で学びを続けていますが、自分たち自身も多様性の中にいると言うことを肌で実感したようです。グループワークでもみんなが生き生きと発言をしていて、大きな学びを得られました。 最後に先生の総括で、一人ひとりができることをやろう!情報発信して社会を変えていこう!と言う力強いメッセージを、自分たちのものとして受け止めておりました。 貴重な時間を本当にありがとうございました。

左から城西国際大学 大学院 国際アドミニストレーション研究科 大江宏子教授、伊藤IGB理事長、同大学 広報室 横山麗さん

左から城西国際大学 大学院 国際アドミニストレーション研究科 大江宏子教授、伊藤IGB理事長、同大学 広報室 横山麗さん

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