インクルーシブ防災講演 実施報告書

実施日:2026年7月7日
実施場所:東京都立鹿本学園
対象:中学部・高等部 生徒(肢体不自由教育部門)
テーマ:「災害のとき、みんなで命を守るには?」
実施団体:NPOインフォメーションギャップバスター

1.実施概要
2026年7月7日、東京都立鹿本学園において、肢体不自由教育部門の中学部・高等部の生徒を対象とした「インクルーシブ防災講演」を実施した。
本講演は、災害時における多様な困難や情報保障の重要性について理解を深めるとともに、生徒一人ひとりが自分にできる行動を考えることを目的として行った。

講演は、単に防災知識を伝える形式ではなく、生徒が主体的に考え、意見を共有し、行動につなげる参加型プログラムとして構成した。

2.講演内容

2.1 災害を「自分ごと」として捉える学習
講演前半では、災害の種類や学校生活の中で実際に起こり得る災害について確認し、災害を身近な課題として捉えるための導入を行った。
また、講師自身がろう者として災害時に経験した「情報が届かない」という困りごとを紹介し、災害時には障害の有無や状況によって必要な支援が異なることを説明した。
・聴覚障害のある方
・視覚障害のある方
・車椅子を利用している方
・歩行が困難な方
・知的障害のある方
これらの具体例を通して、災害時には一人ひとりの困りごとに気づき、状況に応じた配慮や支援を行うことの重要性を共有した。
東京都立鹿本学園では、毎月の避難訓練に加え、煙体験や消火体験など、日頃から防災教育に継続的に取り組まれている。
講演では、こうした既存の取組を踏まえながら、「もし今、この学校で災害が起きたら」という視点で、生徒自身が考える時間を設けた。

2.2 インクルーシブ防災の考え方
講演では、「助けてもらう人」と「助ける人」を固定的に分けるのではなく、誰もが役割を持ち、お互いに支え合うことが大切であるというインクルーシブ防災の考え方を紹介した。
例えば、ろう者は視覚的な情報共有や周囲への伝達に力を発揮できる場合があり、車椅子利用者も周囲の人を落ち着かせたり、状況を伝えたりする役割を担うことができる。
障害の有無にかかわらず、一人ひとりができることを持ち寄ることで、災害時の助け合いの幅が広がることを伝えた。

3.グループワークの実施
講演後半では、生徒同士が意見を出し合うグループワークを実施した。各グループには教員にも入っていただき、生徒が主体となって話し合いを進めた。
グループワークでは、以下の3つの場面を想定した。
1.授業中に大地震が発生した場合
2.学校で火災が発生した場合
3.避難所で生活することになった場合
それぞれの場面について、次の視点から意見交換を行った。
・どのような人が困る可能性があるか
・どのような支援や配慮が必要か
・自分には何ができるか
生徒からは多様な意見が出され、災害時に必要となる情報共有、声かけ、移動支援、安心できる環境づくりなどについて、具体的に考える機会となった。
教員の支援を受けながらも、生徒自身が主体的に意見を出し合い、活発な話し合いが行われた。

4.講演のまとめ
講演の最後には、次の内容をまとめとして伝えた。
・災害そのものを防ぐことは難しいが、助け合うことで救える命がある。
・困っている人に気づくこと、声をかけること、情報を伝えることが命を守る行動につながる。
・一人ひとりの小さな行動が、誰も取り残さない防災につながる。

5.成果と所感
本講演を通して、生徒が防災を「誰かに任せるもの」ではなく、「自分にもできることがあるもの」として捉えるきっかけを提供できたと考える。
特に、障害や困難のある人を一方的に支援される存在として見るのではなく、互いに役割を持ち支え合うという視点を共有できた点は本講演の大きな成果である。

6.今後の展望
NPOインフォメーションギャップバスターでは、今後も学校、地域、行政等と連携しながら、「誰も取り残さない防災(インクルーシブ防災)」の実現に向けた啓発活動を継続していく。
今回の講演で得られた気づきや意見を今後の活動に生かし、より多様な人が安心して避難・生活できる地域づくりに貢献していきたい。

東京都立鹿本学園の学校名盤東京都立鹿本学園にて鈴木氏が講演する様子

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