【イベントレポート】国分寺市聴覚障害者協会主催 電話リレーサービス勉強会(7/6開催)
「あなたの生活を豊かにする電話リレーサービスとは」
7月6日 国分寺の本多公民館にて、NPO法人インフォメーションギャップバスター 理事長 伊藤芳浩氏が登壇されました。講演は約2時間にわたり、行われました。
社会には様々な課題があり、それにより数多くのコミュニケーションバリアが生じている現状があります。今回の講演では、いくつかのコミュニケーションバリアのうち、「電話が使えない」というバリアに焦点を当て、”電話リレーサービス”について説明いただました。
参加者は全体で50名程あり、既に電話リレーサービスを使用されている方、今後使用を検討されている方がいらっしゃりと、皆様大変熱心にお話を伺っていました。
伊藤氏の講演を筆者なりにまとめますと、以下のようになります。
電話は、日本において主要なインフラの一つであり、利便性が高くスムーズにコミュニケーションをとることが出来ます。つまりこれは言い換えると、電話が使えないことは、様々な不利を創出してしまう、ということになります。不利とは何か、具体的に例を挙げますと、下記の通りです。
・緊急連絡が出来ない
・本人確認が行えない
・予約の当日の確認が出来ない
これは個人の問題に留まらず、社会全体の問題であり、社会全体でサポート体制を整えていく必要があります。
こういった課題を解決するために、電話リレーサービスの存在は大きな躍進と言えると思います。サービスを利用することで、自分の出来る事の幅が広がる、それは個人の自立にもつながります。
ただ、電話リレーサービスはまだまだ下記のようにいくつかの課題を抱えています。
・サービスには期限があること
・24時間未対応であること
・社会の認知が不十分であること
伊藤氏はこのようなことを懸念され、改善を求めておられました。
講演の中で、全日本ろうあ連盟の電話リレーサービスに関する動画を拝見しました。動画では、サービスの具体的な説明や、実際に利用している様子が映されており、イメージが掴みやすい内容となっていました。
質疑応答では、他国の電話リレーサービスの現在の状況について質問がありました。それに対し、伊藤氏はアメリカのサービスの内容について紹介されていらっしゃいました。
その後、実際に参加者で日本財団の電話リレーサービスのWebサイトにアクセスし、任意で登録を行う時間が設けられました。現在日本財団では、登録は手帳を所持している聴覚障害者とされています。ただ、サービスの存在を聴者の中でも周知していくことは重要であると思います。それにより、まだ利用していない聴覚障害者に働きかけることが可能となるはずです。
上記で述べましたように、電話リレーサービスは、電話を使えないとしても、使える人と対等に機会を得ることを可能にする、という役割を果たしています。
このように、社会の中で合理的配慮をとることにより、障害がある人も、そうでない人も、互いに不利益を被ることのない日々を過ごせるようになります。それが当たり前になる社会は、豊かな社会と言えると思いますし、我々の理想であります。電話リレーサービスは、そういった社会の実現の大きな一歩と言えるのではないでしょうか。
今後、当事者の意見を聞きながら、電話リレーサービスの認知・普及をさらに広めていく必要があります。
こういったことを感じる事のできた、充実した講演に参加させていただけたこと、光栄に思います。
(文責:インターンシップ山下綾香)
参加者の感想
勉強会に参加した方から感想をいただきましたので、紹介いたします。
・Mさん
「講演ありがとうございました。
『家族、友人を頼ることは自立ではない。誰もが公平に自立して電話が使えることが大切。』という言葉が印象に残りました。電話リレーサービスについて、総務省と厚生労働省が国の公共インフラとしての整備を求める方針を決めた、というニュースを目にしました。
国が主体となることで、「24時間利用できない」「聞こえる人から聞こえない人へは利用できない」などの課題が解決されることと期待しています。緊急通報についても課題は多いと聞きましたが、命がかかった何より重要な電話です。早急に整備されるといいですね。
また、公共インフラとなると、このサービスに欠かせない手話通訳者をより多く確保することも必要になります。高齢化、人数不足、技術不足…こちらの課題も解決しなければ…。『誰もが公平に電話が使えるようになるために』手話通訳者の養成が国主導で進むことも期待します。
・Sさん
情報社会と言われるこの時代にまだ電話リレーサービスを知らない、利用していない人が大半という事実を知って、驚いています。課題も山積みです。もっと多くの人に知ってもらいたいし、利用してもらいたい。
電話リレーサービスを広める活動をIGBだけで行うのは大変なことだと思います。
私も何かお手伝い出来ることはないか考えていきたいと思います。私の考えを変えさせてくれた講演を拝聴できて、本当に良かったです。ありがとうございました。