fbpx

Information Gap Buster 特定非営利活動法人

【声明】旧優生保護法訴訟の大阪控訴審判決に関して


2022年2月22日(火)、大阪高等裁判所は、一審の判決を変更し、国に対し、優生保護法に基づく優生手術の被害者である控訴人らに慰謝料等計2,750万円及びそれに対する遅延損害金の支払いを命じる初めての判決を言い渡しました。本判決は、除斥期間を適用しない画期的な判決です。NPOインフォメーションギャップバスターはこの判決を受けて、声明を出しました。

国は、上告をせずに速やかに本判決を確定させ、控訴人らすべての優生保護法被害者に謝罪と賠償をすることを強く求めます。

また、仙台の「強制不妊訴訟不当判決にともに立ち向かうプロジェクト」が、国に対して上告をせずに速やかに本判決を確定させることを求めるオンライン署名を開始しましたので、是非とも署名及び拡散にご協力をよろしくお願いいたします。

#優生保護法大阪高裁判決に上告しないでください
https://chng.it/8VDtxqBWCx


2022年2月25日

旧優生保護法訴訟の大阪控訴審判決に関するインフォメーションギャップバスター声明

特定非営利活動法人インフォメーションギャップバスター
理事長 伊藤芳浩

2022年2月22日、大阪高等裁判所第5民事部は、国に対し、優生保護法に基づく優生手術の被害者である控訴人らに慰謝料等計2,750万円及びそれに対する遅延損害金の支払いを命じる判決を言い渡した。

原告は強制的に不妊手術を受けさせられたため、手術は憲法13条が保障するリプロダクティブ権(性と生殖に関する権利)の侵害に当たり、国は賠償義務を負うと主張した。さらに、国と国会は、被害回復のための立法が必要だったのに怠る立法不作為があったとも訴えていた。

これに対し国は、手術から60年余が経過しており、不法行為から20年を経過したことをもって国家賠償請求権が消滅していると反論した。立法不作為についても、原告は国家賠償法に基づいて被害回復を求めることができたため、別の補償制度の立法が必要不可欠だったとはいえないと主張していた。

これまでの各地裁判決は、優生手術の被害者らが差別・偏見に苦しみ、その差別・偏見が優生保護法によって助長され、固定化されたものであること、優生手術の被害者らがその差別・偏見等により長年声を挙げられなかった、といった諸事情を軽視し、画一的に除斥期間を適用し、国の賠償責任を認めなかった。

大阪高裁は、優生手術の被害者の声に真摯に向き合い、非人道的かつ重大な人権侵害に対し、除斥期間の適用を制限するという判断をしただけでなく、配偶者に対する人権侵害も認めたものであり高く評価する。また、国は今回の判決を重く受け止めて被害者らの被害に真摯に向き合い、上告することなく、直ちに一時金支給法の改正等の対応を取るべきである。

NPOインフォメーションギャップバスターは、声をあげられない被害者を含む全ての優生手術被害者の被害回復を実現するため、また、優生思想および障害者に対する偏見差別の解消に向けて、引き続き、「障害のある人や家族やすべての人とともに生きる」共生社会をつくるよう努めることを表明する。


本裁判の経緯については、下記のNHK Webサイトにまとまっていますので、裁判概要も書かれているので、関心のある方は是非ともご覧ください。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20220222/2000058081.html

下記は、2020年6月30日に東京地裁民事第14部は、原告である北三郎さん(仮名・77歳)の請求を棄却するとの判決を言い渡した際に出した表明です。こちらもご参考までにご覧ください。

【声明】旧優生保護法違憲訴訟判決について

この記事のリンク | カテゴリ: コミュニケーションバリアフリー, パブリックコメント・声明
当事者研究 コミュニケーションバリアフリー メルマガ購読