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Information Gap Buster 特定非営利活動法人

職場での差別・ハラスメント対策パンフレット付録

本ページは、こちらのページ(未公開)にて公開中の「職場での差別・ハラスメント対策パンフレット」の付録であり、パンフレットには記載されていない詳細情報をまとめています。

聴覚障害者が在籍する職場で差別やハラスメントを防ぐためには、聴覚障害を持つ当事者と職場が共に協力し、互いに過度な負担をかけない範囲で、以下の方法を採用することが推奨されます。具体的には、【支援サービス】や【支援助成金】の利用、【聴覚障害者のコミュニケーション方法】の導入、そして【相互理解を促進するワークショップ】の実施などが含まれます。

【支援サービス】

<各自治体の意思疎通支援事業>

・東京都の例:東京手話通訳等派遣センターの手話通訳者派遣東京手話通訳等派遣センターの要約筆記者派遣

<民間企業が提供する意思疎通支援サービス>

・株式会社プラスヴォイス:遠隔手話通訳サービス えんかく+ -for Business-(遠隔手話通訳、電話通訳)
・株式会社ミライロ:手話·文字通訳 派遣サービス(対面手話・文字通訳、遠隔手話・文字通訳、電話通訳)
・株式会社アイセック・ジャパン:情報保障サービス e-ミミ(遠隔文字通訳)
・ドコモ・サポート株式会社:手話通訳派遣サービス(対面手話通訳・遠隔手話通訳)


【支援助成金】

障がい者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障がいの種類や程度に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を実施する場合に、その費用の一部を助成するものです。ICT(情報通信技術)を活用した事例でも支給対象となります。詳細は、下記の独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のWebサイトをご覧ください。

手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金


【聴覚障害者とのコミュニケーション方法】

聴覚障害を持つ方の特性は人それぞれなので、事前に視覚主導か聴覚主導かのコミュニケーションを選択するかを確認することを推奨します。視覚主導の方には、方法1から5を推奨します。聴覚主導の方には、方法6を推奨します。場合によっては、両方もしくは複数の方法を併用することもあります。

1. 筆談

  • 方法: 紙やボードに文字を書くことで意思疎通を図る。
  • 習得方法: 特別な習得方法は不要ですが、書くスピードや読みやすさを向上させるために、日常的に練習することが有効です。
  • メリット: 簡単で直接的。特別な技術やツールが不要。
  • デメリット: 時間がかかる。複雑な内容の伝達が難しい。
  • 限界点: 緊急時や長文のコミュニケーションには不向き。

2. PCタイピング

  • 方法: コンピューターやタブレットのキーボードを使って、テキストメッセージでコミュニケーションを行う。
  • 習得方法:
    ・タイピング練習ソフト: タイピングスキルを向上させるためのソフトウェアやオンラインプログラムを利用する。
    ・オンラインコース: オンラインで提供されるタイピングコースやチュートリアルに参加する。
  • 実践: 日常的にPCやタブレットを使って文書を作成することで、自然とタイピングスキルが向上します。
  • メリット: 文章を保存しやすく、後で参照可能。筆談より高速。
  • デメリット: PCやキーボードが必要。
  • 限界点: ハードウェアの不具合や電源問題の発生可能性あり。

3. 音声認識アプリ

  • 方法: スマートフォンやタブレットの音声認識機能を利用して、話された言葉をテキストに変換し、コミュニケーションをとる。
  • 習得方法: 音声認識アプリの操作方法を学ぶ必要があります。これは、アプリの使い方ガイドやオンラインチュートリアルを通じて学べます。ユーザーによるコミュニティもあるので、その中で、質問しながら学ぶ方法もあります。
  • メリット: 負担がかからない。
  • デメリット: 滑舌の悪さや発言の重なりなどによる誤認識。ネット接続が必要な場合がある。
  • 限界点: 雑音のある環境や方言では効果が低い。

音声認識アプリの例:UDトークYYProbeVEUVOPekoe


4. 手話

  • 方法: 手や指、表情を使って言葉を伝える。
  • 種類:大きく分けて、日本手話(日本語とは独立した文法体系を持つ言語)、日本語対応手話(日本語と同じ語順で発声しながら、手話単語や指文字を並べて表現する方法)の2種類がある。聴覚障害者当事者のニーズに合わせて選択することが重要です。
  • 習得方法:
    ・オンラインコース: インターネット上で提供される手話のコースやビデオを利用。
    ・対面授業: 地域の教育機関や聴覚障害者支援団体で実施される手話のクラスに参加。
    ・自習: 手話の教科書や動画を利用して独学。
  • メリット: ニュアンスなどを含む多くの内容をスムーズに伝えることができる。
  • デメリット: ある程度の学習期間が必要。使える相手が限られる。
  • 限界点: 相手の手話読み取り能力に依存する。

5. 口話法

  • 方法: 相手の口の動きを読み取って言葉を理解する。
  • 習得方法: 聴覚障害者とコミュニケーションしようとする人は、聴覚障害者の方を向いて、はっきりと口を動かして話すように意識することが重要です。
  • メリット: 準備不要で実施できる。
  • デメリット: 読み取る側に高い集中力と練習が必要。口の動き、髭、照明による影響を受けやすい。「たまご」「たばこ」 のように口の形が似ている単語は読み取り違いが起きやすい。
  • 限界点: すべての言葉に対応するのは困難。

6. 聴覚補助(音声活用)

  • 方法: 補聴器、人工内耳、ヒアリングループ (誘導ループシステム)、補聴アクセサリー (FMシステム、Bluetoothデバイスなど)など
  • 習得方法: 専門家・有識者による調整が必要。
  • メリット: 個別のニーズに合わせたフィッティングが可能。周りの人の支援が不要。
  • デメリット: 全ての方に適しているわけではない。コスト(費用)がかかる。特に、補聴器・人工内耳などは、本人の負担が大きい。また、リハビリテーションの負担が大きい。
  • 限界点: 重度の聴覚障害者には効果が限定的。

補聴器:個人の聴力に合わせて音を増幅・調整する小型の電子機器
人工内耳:外部の音を受け取り、電気信号に変換して直接聴神経に送る外科的に埋め込まれたデバイス
ヒアリングループ (誘導ループシステム):音声信号を電磁波で送信し、補聴器や人工内耳のTコイルで受信するシステム
補聴アクセサリー (FMシステム、Bluetoothデバイスなど):音声を直接補聴器や人工内耳へ送信する無線技術


【相互理解を促進するワークショップの例】

実際に聴覚障害を体験するシミュレーションと、聴覚障害者と非障害者が一緒に参加するワークショップを組み合わせることで、最も実践的な理解を促進できます。これにより、他者の立場を深く理解し、実際の職場環境での適応方法を学ぶことができます。

DENSHIN:「DENSHIN(デンシン)」は、「株式会社Silent Voice」が実施している言葉や音声を用いない「無言語空間」で、コミュニケーションの本質である、”スキル以外の要素”=マインドやスタミナを変革・向上させるコミュニケーション研修プログラムです。

異言語脱出ゲーム:異言語脱出ゲームは、「一般社団法人 異言語Lab.」が実施しているゲームで、手話、筆談、身振り、音声などを利用して、聴者とろう者・難聴者が協力して謎を解決していくことを特徴としています。手話や音声・日本語を組み合わせた謎を通じて、参加者は異なる言語やコミュニケーション手段を使いながら、協力してゲームの目的を達成します。聴者とろう者•難聴者が一緒になって参加することで、互いの理解を深めるとともに、異なるコミュニケーション手段の価値を認識する機会を提供しています。

【参考記事】
なぜ企業が社員研修に取り入れるのか? ある「謎解きゲーム」が注目を集める理由
キトー、障がい者が働きやすい職場環境に “聞こえない研修”で立場理解 | 日刊工業新聞 電子版

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