理事長インタビュー

理事長 伊藤芳浩

理事長 伊藤 芳浩

「情報のバリアは、
社会の仕組みで解決できる」

生まれつきのきこえない当事者として、IT企業での勤務経験を経てIGBを設立。「誰もが対等に話せる社会」を目指し、政策提言と多角的な社会啓発活動の両面から情報の壁に挑み続けている。

原点と想い

Q:IGBを設立した最大の動機は何ですか?

私自身が社会に出た際、職場の会議や日常のやり取りの中で「自分だけが情報から取り残されている」という現実に直面したことが原点です。これは個人の努力の問題ではなく、社会の仕組みの問題であると痛感しました。聞こえないことを理由に選択肢が狭まる社会を変えたい。その一心で仲間と立ち上がりました。

Q:これまでの活動で、最も印象に残っていることは何ですか?

2020年の「電話リレーサービス法」の成立です。2014年から地道な署名活動やロビイングを続け、ようやく法律として形になった瞬間、私たちの声が国を動かしたという大きな手応えを感じました。当事者の権利が制度として保障された、歴史的な転換点だったと考えています。

IGBの強みと独自性

Q:活動を支える「IGBの一番の強み」を教えてください。

当事者の困りごとを構造的に分析し、行政や企業が動きやすい「具体的な解決案」を提示できる力です。単に不便さを訴えるだけでなく、建設的な対話を通じて社会の仕組みをアップデートしていく。バリアフリーとは特定の誰かのための優しさではなく、社会全体をより良くするためのインフラ整備である、という考え方が私たちの核にあります。

Q:IGBならではの「活動の独自性」はどこにありますか?

「政策提言(ロビイング)」と「戦略的な社会啓発」を、当事者主導で同時に進めている点です。法律や制度を変えて根本解決を図ると同時に、多角的なプロモーションを通じて社会の意識をアップデートし、新しいコミュニケーションの形を社会に実装していく。この専門性の高いハイブリッドなアプローチこそが、IGBの独自性です。

Q:現在、特に解決を急いでいる「情報の壁」は何ですか?

職場や医療、防災現場における「命や生活に直結する情報のやり取り」です。電話リレーサービスという土台はできましたが、対面でのやり取りや緊急時の情報伝達にはまだ多くの課題があります。2025年のデフリンピックを契機に、これらを当たり前のインフラに変えていきたいと考えています。

Q:どのようなメンバーがIGBを動かしているのでしょうか。

当事者はもちろん、手話通訳者、ITエンジニア、法律家、経営層など、多様な専門性を持ったプロフェッショナルなボランティアが集まっています。「情報の不平等を正したい」という強い意志で繋がっている、仕事のスキルを社会のために活かす熱意のあるプロフェッショナル有志の集まりです。

Q:最後に、私たちが目指す最終的な「ゴール」を教えてください。

IGBという組織が不要になることです。情報バリアを壊すために特別な声を上げる必要がなくなり、誰もが空気のように当たり前に情報を得て、発信できる。そんな社会が実現したとき、IGBは笑顔でその役割を終えることができるのだと思います。

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