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Information Gap Buster 特定非営利活動法人

薬師寺みちよ議員の第193回国会厚生労働委員会での発言について


薬師寺議員がNPOインフォメーションギャップバスターの陳情を受けて2017年6月8日に開催された第193回国会 厚生労働委員会にて、「電話リレーサービス」及び「障害者介助等助成金」の問題点を指摘されていました。(詳細は下の方にある議事録抜粋を参照)。それに対する総務省・厚労省の回答のポイントは以下です。


【電話リレーサービスについて】

  • 日本全国にあまねく通信サービスを提供するためのユニバーサルサービス制度において、電話リレーサービスの費用負担を行うのは困難である。(総務省)

  • 今年度から、新たに聴覚障害者情報提供施設に対して遠隔通訳の配置などに要する費用を補助する仕組みを創設。(厚労省)

  • 働き方改革の一環として、電話リレーサービスの費用を補助する仕組みを検討中。(厚労省)

【障害者雇用促進における障害者介助等助成金について】

  • 障害者介助等助成金の中に手話通訳担当者の委嘱助成金があるが、対象には電話リレーサービスや遠隔通訳なども含まれていると考えている。(厚労省)


NPOインフォメーションギャップバスターとしての主な考えは以下の通り。

【電話リレーサービスについて】

  • 聴覚障害者には様々なコミュニケーション手段(日本手話・日本語対応手話・日本語(読み言葉、書き言葉))を持っている人が存在しており、それぞれに対応した人的サポートを行う電話リレーサービスを公的サービスとして実現する必要がある。

  • 日本手話・日本語対応手話でコミュニケーションする人のために、日本語へ通訳するオペレーターを設置している電話リレーサービスが必要。
  • 日本語でコミュニケーション人のために、文字化(タイピング)するオペレーターや音声認識ソフトや誤変換のチェック・修正を行うオペレーターを設置している電話リレーサービスが必要。
  • 事故、急病などの理由により、警察、病院などに緊急連絡を行う場合、現行の日本財団による電話リレーサービスでは、試行中のため関連部署との連携が取れていないなどの理由により、原則として不可となっていて、対応時間も限られている。聴覚障害者がいつでもどこでも緊急電話できるよう、電話リレーサービスの公的サービス化(24時間365日対応)が必要である。

  • 販売店などのサービス事業者から、聴覚障害を持つ個人が所持している電話番号宛に連絡を受けることができるようにするためには、インフラとしての電話をバリアフリー化する必要がある。そのためには、電話リレーサービスの公的サービス化が必須である。(厚労省で検討中の遠隔通訳の場合は、リアルタイムで連絡を受けることが困難)

  • 金融機関での本人認証のためには、多くの場合、本人が電話をかけることが求められており、そのためにも電話リレーサービスが現在の日本財団の試行サービスではなく、公的に認められたサービスである必要がある。


 【障害者雇用促進における障害者介助等助成金について】

  • 聴覚障害者には様々なコミュニケーション手段(日本手話・日本語対応手話・日本語(読み言葉、書き言葉))を持っている人が存在しており、それぞれに対応した助成が可能であることを明示すべきである。(現状は、手話通訳のみ明示されている)

  • 聴覚障害者の場合は、継続的な支援が必要であり、可能な限り、在職中は必要に応じて対応できる仕組みにすべきである。(現状は、10年間のみ対応となっている)


今後、総務省、厚生労働省の双方にて電話リレーサービスへの取り組みが行われようとしていますが、インフラ、労働/福祉の両面からしっかりと①電話リレーサービス公的サービス化が行われるよう、また、②障害者介助等助成金がさらに拡充されるよう、議員と連携しつつ、今後も粘り強く声をあげ続けて行きたいと考えています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


厚労委員会の議事録を原文のまま転載いたします。
出典:第193回国会 厚生労働委員会 第23号 議事録

○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。
今日は聴覚障害者の皆様方の施策を質問いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
皆様方に資料をお配りをいたしております。
六月三日、愛知県でボートが転覆いたしました。乗っていらっしゃったのが聴覚障害者の皆様方です。じゃ、その方々がどうやって通報したのか。それは電話リレーサービスです。この電話リレーサービス、実は沖縄で受けているんです、愛知でボートが転覆したにもかかわらず。やっぱりそれがなぜなのかということも今回皆様方に私は考えていただきたいと思っております。
実は、その事件でもなかなか連携がうまくいかなかったということで、私も新聞で読みました。ですから、まずはそのことについて御説明いただけますでしょうか、お願い申し上げます。

○政府参考人(奥島高弘君) お答えをいたします。
今月三日でございますけれども、午後四時五十分頃、愛知県西尾市一色町の沖合海域におきまして、プレジャーボートが機関故障を起こし、後に風浪等により転覆するという海難が発生をいたしました。本件海難につきましては、事故者が全員聴覚障害者であるということから、電話リレーサービスを通じまして、午後七時十五分頃でございますが、名古屋海上保安部に通報がなされております。
名古屋海上保安部の上部組織でございます四管本部、第四管区海上保安本部でございますが、ここで巡視艇あるいは航空機を発動させまして、午後九時三十七分頃、巡視艇が当該プレジャーボートを発見し、乗組員等四名全員を救助したということでございます。

○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
今回は、この聴覚障害者の皆様方が、その四名のうちの一名がこのリレーサービスに登録していたから命が助かったんです。
このリレーサービス、もっともっと私は多くの皆様方に利用してもらいたい。でも、この資料を御覧ください。今、リレーサービスを行っているのは三社です。そして、三つの県なんです。こんなに少ないんです。
ですから、このリレーサービスを経由して電話が掛かってきたとき、その管轄以外の部署にしっかりとつないでいただけているのかということについて、警察、消防、海上保安庁に教えていただきたいと思います。お願い申し上げます。

○政府参考人(小田部耕治君) 聴覚障害者の方から電話リレーサービスセンターに緊急通報があり、同センターから一一〇番通報が行われた場合につきましては、同センターが所在する場所を管轄する都道府県警察の通信指令室が受理することとなりますが、聴覚障害者の方の架電場所が異なる都道府県に所在する場合におきましては、同センターからの電話を受理した都道府県警察の通信指令室におきまして、同センターからの電話を聴覚障害者の方の架電場所を管轄する都道府県警察の通信指令室に転送し、聴覚障害者の方の架電場所を管轄する都道府県警察におきまして、同センターからの電話を受理して対応することとしているところでございます。

○政府参考人(杉本達治君) お答え申し上げます。
消防の関係も今の警察の取扱いと同様でございまして、聴覚障害者から電話リレーサービスを経由して一一九番通報が行われた場合には、一一九番通報を行った電話リレーサービスのオペレーションセンターの所在地を管轄する消防本部に通報がまず接続をされます。そのような通報を受けた消防本部は、状況を見て、通報者の所在する場所を管轄する消防本部に聴取した通報内容を伝達するとともに、通報を転送して対応を引き継ぐというような取扱いがなされていると聞いております。

○政府参考人(奥島高弘君) 海上保安庁におきましては、電話リレーサービスを通じまして事故発生場所を管轄していない海上保安部署等に通報がなされた場合でありましても、通報者から事故の発生場所や状況等を聞き取り、事故発生場所を管轄する海上保安部署等に直ちに情報提供を行い、その海上保安部署等において救助勢力を出動させるなどして対応いたしております。

○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
実は、このシステム、日本財団におんぶにだっこの状況でございます。皆様方にも資料お配りいたしております。これは今、日本財団がやっている事業です。日本の聴覚者の人数が約三十六万人、電話ができないことによる問題というものは、今のように緊急通報ができない、様々なことで家族にも連絡することができない等々のお困り事がございます。
そこで、この電話リレーサービス、調べてみましたら、国で負担しているのが十か国ですよね。電話会社が負担をしているのがやはり十か国。今回はたまたま命が守れたからよろしいんですけれども、この日本財団の電話リレーサービスは、見ていただいたら分かるように、年々利用者が増えている状況です。そこでようやく乗り出してくださったのが厚労省です。ここに今予算を付けてくださっているのは厚労省だけですよね。金子政務官、これで本当によろしいんでしょうか。
厚労省は、今、福祉という側面からこの事業応援をしておりますけれども、このように様々な事件が起こる、そして様々な事故が起こる、そういうところに福祉の場面だけで私は不足しているものも多いと思いますけれども、御意見いただけますでしょうか。

○大臣政務官(金子めぐみ君) まず、情報アクセスの格差を解消し、聴覚障害者のコミュニケーションを確保することは極めて重要な課題であると認識をいたしております。そういった中で、昨今の情報通信分野の技術革新やブロードバンド環境の拡大によって、御指摘の電話リレーサービスに限らず、そのほかにも様々なコミュニケーションツールが登場してきているのもまた事実でございます。
情報通信研究機構では、スマートフォン同士の通話で音声と文字をリアルタイムに変換する聴覚障害者支援のアプリ、通称「こえとら」を開発いたしました。このアプリにつきましては、主要電気通信事業者の協力を得まして、平成二十七年二月から無償提供が行われているところでございます。また、携帯電話事業者におきましては、通信相手の会話が聴覚障害者のスマートフォンの画面にリアルタイムに文字で表示されるシステムを開発し、無償提供を開始しているところであります。
総務省といたしましては、聴覚障害者のコミュニケーション環境が向上するよう、今後もそのニーズの把握に努め、電気通信事業者などとも協力しながら取り組んでまいりたいと考えております。

○薬師寺みちよ君 残念です。この問題は厚労省の問題でしょうか、違いますよね。どう思われますか。
金子政務官、私は、これから、手話を使うだけではなく、やっぱり文字で多くの高齢者の皆様方がやり取りをなさる時代になってまいります。そのときに、やはりそれが福祉という側面だけで支援をこのようにしていると多くの皆様方が利用できないですよね。是非もう一声いただけますか。

○大臣政務官(金子めぐみ君) 先ほども申し上げましたが、聴覚障害者に対する情報アクセスの格差を解消するなど、いわゆるユニバーサル社会の実現というものは、私自身は重要な課題であると認識いたしております。
一方、先ほど申し上げました障害者権利条約の中でのユニバーサルという意味と、一方で、電気通信事業分野のユニバーサルの意味というのは、ユニバーサルサービスをあまねく日本全国における提供が確保されるべき電気通信サービスのことをいうものでございまして、NTT東日本、西日本による加入電話等のユニバーサルサービスを引き続き低コストの地域でも高コストの地域であっても地域間格差なく提供していくことを確保するための、この場合は制度の意味でございました。そういった枠組みの中では、電話リレーサービスの支援を直ちに位置付けるということは、ここで言うところの電気通信事業分野のユニバーサルサービスという意味では、御指摘の点は困難かというふうに思われます。
いずれにしましても、先ほども申し上げました、総務省としましては、聴覚障害者の方々のコミュニケーション環境の向上に向けて、電気通信事業分野と協力してしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

○薬師寺みちよ君 大臣、一言いただけますでしょうか。これは私は大切な問題だと思います。しっかりと皆様方が利用できるサービスとして育てるためにも、今から質問しますけれども、これ、職業をしっかりと選択し、そしてそこで定着してもらうためにも聴覚障害者や高齢者の皆様方にはとても大事になってまいりますので、大臣の御意見を一言いただけますでしょうか、お願い申し上げます。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今、日本財団のこの電話リレーサービスで命が助かったという、こういう事例を言っていただきました。先般、日本財団の理事長、この件で私のところに参ったところでございますが、聴覚障害者が一人で電話を掛けられるように手話通訳そして文字通訳に対応するオペレーターを、先ほど沖縄という話がありましたが、配置をして支援をするこの電話リレーサービスの提供というのは、聴覚障害者の地域生活における自立のために極めて重要だというふうに我々は思っています。
この電話リレーサービスにつきましては、日本財団は平成二十五年度から独自に予算を確保してやっていただいているわけでありますけれども、今年度から厚労省は、新たにこうした取組を行う聴覚障害者情報提供施設に対しましてオペレーターの配置などに要する費用を補助するという、そういう仕組みを創設して、今、沖縄、熊本、滋賀、千葉、この四か所の施設に補助を行っておるわけで、この補助をしっかり増やしていくようにという御要望もいただいているところでございます。

この三月に働き方改革実行計画の工程表、今日お配りをいただいておりますけれども、この中でも電話リレーサービスの実施体制の構築に取り組むことを明記をしておりまして、引き続き聴覚障害者の支援につきましては努めていかなければならないというふうに考えております。

○薬師寺みちよ君 では、生田局長、教えていただきたいんですけれども、これ、障害者介助等の助成金、手話通訳というところの、私、文言、皆様方に資料をお配りいたしておりますけれども、これは手話通訳だけが対象なんですか、この電話リレーサービスも対象になるんでしょうか、教えてください。

○政府参考人(生田正之君) お答えいたします。
障害者介助等助成金の中に手話通訳担当者の委嘱助成金というのがございます。この手話通訳担当者による支援によりまして、聴覚障害者の雇用の促進やあるいは雇用の継続を図ることを目的としまして、手話通訳担当者の委嘱を行う事業主を対象として助成するものでございます。この対象につきましては、今おっしゃいましたリレーサービスあるいは遠隔手話サービスは含まれるというふうに考えてございます。

○薬師寺みちよ君 含まれると考えるだけで、書いていないんです。いかがですか。

○政府参考人(生田正之君) お答えいたします。
この対象に含まれるということにつきまして、今の要領やあるいはリーフレットについて明記していないのは事実でございます。概念的に含まれるというふうに私ども思っておったわけですけれども、これにつきましては真摯に反省をして、これから行います障害者介助等助成金の周知に当たりましては、遠隔手話サービスを利用する場合を対象とするということを明記して行っていきたいと考えてございます。

○薬師寺みちよ君 多くの障害者の皆様方が既に要望書を、いろいろなところから届いているはずなんですよ。なのに、全くこれは見直されていないんです。利用できるかもしれない、しかし利用していないんです。調査していますかと言ったら、調査もしていない。ですから、私は、この働き方改革の中でしっかり入りましたですよね、文言が。だったら、障害者の皆様方が働きやすい環境を整備するために国として何をすべきなのかということを真剣に考えていただきたいと思っております。
これだけではないはずなんですよ。是非総務省にも御協力いただきたいと思うところなんですけれども、どういう今機器が開発され、それを使えば安価で多くの皆様方に提供できるのか説明を受けましたら、予算がない。予算がないんだったら、技術力が日本にはあるじゃないですか。それを、しっかりと総務省と連携して、ここにしっかり書き込まないと。
これ、一体何年に最後見直されたんですか、局長、教えていただけますか。この手話通訳の規定もそうですし、多くのものを私これ目を通しましたら、これ古いなと思いました。それは事務所から尋ねさせていただいたので、お分かりになるかと思います。

○政府参考人(生田正之君) この助成金の要領につきましては、作って以来まだ直してございません。

○薬師寺みちよ君 だから、いつ作られたんですか。

○政府参考人(生田正之君) 恐縮でございます。昭和五十五年でございます。

○薬師寺みちよ君 私も事務所で聞いて驚きました。これなんですよ。だからこそ、助成金があっても利用できなかったり使い勝手が悪いと言われているのは、ここにあるんじゃないんですか。原因は厚生労働省にあるんです。そして、連携ができない省庁にあるんです。
ですから、しっかりと、働き方改革というものを看板に掲げるのであれば、今回の緊急事態もそうです、もう少し多くの皆様方が住みやすい社会をつくろうという、その意気込みを私は厚生労働省から見せていただきたいと思います。働き方改革でもこのような形でもしかしたら制度疲労を起こしているものが様々見付かってくるかもしれません。
大臣、しっかりと新しいサービスも導入して、リーフレットも作り直して、もっと障害者の皆様方に寄り添った制度としてほしいんですけれども、御意見いただけますでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今の助成金の資料が昭和五十五年ということでありますから、国会議員にも我々なっていない、びっくりするぐらい昔の資料のままだということでありますので、技術革新が生かされていないということがよく分かりまして、早速直したいと思います。
御指摘のとおり、障害者が希望や能力の適性を十分に生かしながら障害の特性等に応じて社会の中で活躍をできるということができるのがやっぱり普通の社会、あるいは障害者とともに働くことが当たり前の社会ということになるわけでありますので、こういった観点からすれば、障害者の雇用の促進とか雇用の継続を図るためには、今申し上げたように、技術の進歩をしっかりと取り込みながら、障害者の皆さん方の目線に立って支援策を充実をしていくということを絶えずアップデートしていかないといけないというふうに思います。
こういうことから、今後とも、特に、障害がある方々の多様な要望があるわけでありますから、その要望を十分踏まえた上で、助成金の対象拡大も含めて効果的な支援策について検討をしてまいりたいと思いますし、早速関係部局にはすぐに検証をするように指示をしたいというふうに思います。

○薬師寺みちよ君 大臣、もう一つお願いがございます。
ですから、厚労省だけではなく、手が結べる省庁とも是非連携していっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回も、海上保安庁にもお世話になったわけでありますし、いろんな交通手段等々いろいろありますので、関係する省庁がどこなのかということも漏れがないように注意しながら連携をしてまいりたいというふうに思います。

○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
以上で質問を終わります。

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