【意見】電話リレーサービスの公共インフラ化のための体制整備について
6/28(金)に総務省・厚生労働省共催の【電話リレーサービスに係るワーキンググループ】の最終回が開かれ、活動がほぼ完了し、報告書が出る予定となりました。
今後は、関連法律の改正など電話リレーサービスの公共インフラに必要な仕組みづくりを進め、早ければ2021年度の運用開始を目指すとのことです。
仕組みが整えば、これまで8時から21時までしか使えなかった電話リレーサービスが24時間利用できるようになることが想定されます。
▼デジタル活用共生社会実現会議:電話リレーサービスに係るワーキンググループ
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/digital_utilization/index.html
【電話リレーサービス】とは、きこえない・きこえにくい人ときこえる人を、オペレーターが “手話や文字” と “音声” を通訳することにより、電話で即時双方向につなぐサービスです。
20カ国以上の国々では、電話リレーサービスが公共インフラとして実施されていて、緊急通報も可能になっています。
そのため、多くの国々では、きこえない・きこえにくい人が、自ら通報することが可能になっています。
しかしながら、日本ではまだ電話による緊急通報ができないため、対策が喫緊の課題になっています。
NPO法人インフォメーションギャップバスターは、2014年より「電話リレーサービス啓発プロジェクト」を立ち上げ、電話リレーサービスの早期公的サービス化・24時間365日対応を求めて、署名を集めて総務省へ提出、講演・シンポジウム・展示会出展対応などで普及啓発活動をしてまいりました。
全日本ろうあ連盟、各地ろう協会、手話サークルなどの関連団体・企業との連携、日本財団の3年にわたる助成、山本ひろし参議院議員、薬師寺みちよ参議院議員をはじめ、多くの議員たちのご支援、ご理解をいただいた事、ここにて厚くお礼を申し上げます。
【電話リレーサービス】が日本でもようやく公共インフラになりそうというところまできて感無量です。
【電話リレーサービスに係るワーキンググループ】では、電話リレーサービスを仕事やプライベートなどあらゆる用途で使えるように、また、24時間使えるように進めているのは、大変嬉しく思います。
しかしながら、火災通報や救急要請などの「緊急電話」や、クレジットカードなどをはじめとする本人であるかどうかを音声のやりとりにて確認する「本人確認」においては、対応システムが大変複雑になっており、電話リレーサービスが対応するには多大な時間がかかることが想定されます。
特に「緊急電話」や「本人確認」については、多くの方が何度も何度も辛くやるせない思いをしていますので、一刻も早い対応をされることを強く望みます。
例えば、「緊急電話」がスムーズに行えなかったことにより救えたはずの命が失われてしまったり、「本人確認」にて拒否をされ、手続きに多大な時間と労苦がかかったりと、例を挙げれば、枚挙にいとまがありません。
日本において、電話は主要な公共インフラとなっております。ただ、電話のシステム化を行う際、聴覚障害者などの音声通話が困難な当事者のことを考慮せずに進めてきた、という現状があります。令和になってその代償を払う形になってしまったと考えています。
このような現状を思うと、聴覚障害者などの当事者が、当初からシステム化の議論の場にいなかったことがとても悔やまれます。当事者が、当初から議論の場に参加していたとしたら、例で挙げたような状況は未然に防げたのではないでしょうか。
今後、二度とこのようなことがないように、新しいシステムを立ち上げる際は、必ず障害者などマイノリティの声を聞く場を設けて欲しいと思います。
【電話リレーサービス】が普及することで、すべての者が平等に電話を使えるようになり、さらにインクルーシブな社会への一歩を踏み出すことが出来るよう、心から祈っています。
NPO法人インフォメーションギャップバスターは、「本当の意味で電話が平等に使える」時代が来るように、引き続き国に働きかけて参りたいと考えています。ご支援・ご理解のほどよろしくお願い致します。
▼【関連記事】聴覚障害者支援 ネット利用、手話通訳者が仲介 24時間利用、国が体制整備(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20190628/ddm/012/040/028000c
(NPO法人インフォメーションギャップバスター理事長:伊藤 芳浩)