【参考情報】聴覚障害者向け119番通報方法一覧(2018年版)

火災・救急・救助で消防隊や救急隊・救助隊を必要とするとき「119番」通報することは、皆さんすでにご存知のところですが、この他、地域によっては、次にあげるような災害活動も行う場合があります。

• 道路から水が噴出して道路に大きな穴が開いている。
• 強風で看板、屋根が飛びそうだ。
• 建物の中もしくは外でガスの臭いがする。

聴覚障害者の場合、電話が出来ないため、通報の壁が存在しています。また、日本財団が試行中の電話リレーサービスは、緊急電話の対象外となっています。各自治体では、代替手段として、FAX119、メール119、Web119、NET119など様々な手段が提供されています。複数の手段を提供しているところもあります。

しかし、まだ対応していない地域もたくさんあります。いずれも事前登録が必要だったり、使用範囲が限られたり（出張や旅行で居住地域の外に行く場合、通報が出来ないなど）などの課題がたくさんあります。

下記に2018年12月現在での全国の全国消防本部の聴覚障害者の通報システム運用状況をまとめました。

Webサイトに公開されている情報を元に掲載していますが、掲載内容に誤りがあるようでしたら、問い合わせフォームより、ご一報いただけると幸いです。

全国で21.4%(157/732)の地域がいずれの119番通報方法も存在しないという由々しき事態です。すべての地域で一刻も早く聴覚障害者向けの通報方法を確保されることを望みます。

また、NET119は、全国で19.1%(140/732)の地域しか普及していません。NET119はGPSと連動して位置情報を素早く伝達でき、また、リアルタイムで情報のやりとりができるため、緊急事態には非常に有効な方法ですので、一刻も早く全国レベルでの普及を強く期待します。

利用方法については、地元の消防本部のWebサイトを参照するか、直接お問合せするなどしてご確認ください。

未対応の場合は、地元の消防本部または聴覚障害者団体などに対応をお願いされることをお勧めします。NET119を導入される場合は、【普通交付税措置】により、消防本部の負担軽減になりますので、活用されての導入をお勧めします。詳細は以下の「お知らせ」をご参照ください。

▼【お知らせ】聴覚・言語機能障害者の円滑な緊急通報を可能とするシステム（Net119緊急通報システム）について

(*) 通報方法が空欄のところは、通報方法不明、もしくは、未対応の地域になります。

今回は各消防に問い合わせはせず、公開情報だけで調べたので完全な情報にはなっていないと考えていますが、調べるのが非常に大変でした。

せっかくNET119・Web119・メール119・FAX119などの通報システムがあるのに、探しづらくて一般市民が知らないと思われるケースも多々あると思われます。消防本部のトップページからアクセス可能なのは全体の2-3割程度で、ほとんどが下記のような状態でした。

①消防署のサイトには掲載されておらず市役所のサイトに載っているところが多い
②設置はしているし告知もしているがお知らせやニュース扱いにしているため期間がたつと過去ログ化してトップページからは確認できない
③消防本部のホームページが無くて市役所等の一部門的な案内ページしかなく情報更新がされていない
④通信機器構成にはFAX119の事が書いてあるけど何も紹介記事が見つからないから運用しているかわからない

消防本部ごとに積極的に広報しようとする気持ちがあるかないかの違いが多く感じました。

なお、最近では指令業務の広域化が進んでいるので、聴覚障害者向けの通報手段が確保される方向で進めて欲しいものです。

また、取り組み例として、知多広域指令センターではメールやFAXが使えないときに限り119通報後受話器を叩き続けるように指示されています。叩く音によってセンター側は聴覚障碍者が他に通報する人がいなくて緊急事態に遭遇していると判断し位置情報から居場所特定して消防車と救急車をむかわせる運用をしているそうです。暫定的な利用方法として、ご参考です。

最後に、鹿児島県MSさんには情報提供に多大な協力をいただきました。厚く御礼を申し上げます。