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Information Gap Buster 特定非営利活動法人

【声明】相模原市の障害者入所施設での事件の判決について


 

相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月26日(火)に、重度障害者19人を殺害し、職員2人を含む26人に重軽傷を負わせたとして、殺人などの罪に問われた元職員に対する判決が2020年3月16日、横浜地裁でありました。

裁判長は、被告には事件当時、完全な刑事責任能力があったと認め、「犯行の結果は他の事例と比較できないほど甚だしく重大だ。酌量の余地は全くない」として求刑通り死刑を言い渡したとのことです。

この4年間、私たちはこの事件が起きたことに胸を痛め、「障害があるないにかかわらずすべての人がともに生きる社会」を実現する必要性を強く認識していました。そのような中で、神奈川県の障害者団体と連携して、『ともに生きる』社会を考える神奈川集会に関わり、「共生社会」への変革のきっかけづくりに努めました。

【報告】相模原「津久井やまゆり園」障害者殺傷事件から3年

そのような中で、4年の年月を経て、遂に判決となりました。
真相は結局明らかにはなりませんでしたが、その背景には、無意識の差別があると考えています。

内閣府の2017年度の調査結果、世の中には障害のある人に対して、障害を理由とする差別や偏見があると思うか聞いたところ、「あると思う」とする者の割合が83.9%もいるとのことです。

障害者差別解消法など「ともに生きる」ための法整備がなされ、表立った差別や偏見はあまり見かけなくなってきましたが、潜在的な差別・偏見はまだ根強く残っています。

例えば、障害者に対して、「障害者は大変だね」「障害者なのに頑張るね」「障害者に判断を任せてはいけない」といった、無意識レベルでの差別・偏見が多くあります。

かつて日本には「優生保護法」という法律がありました。これは、国が障害のある人を「劣っている人」とし、「劣っている人が生まれないようにする」ことを決めた法律です。その法律によって、障害のある人たちは子供ができないように強引に手術(優生手術など)や中絶を受けさせられた歴史がありました。

最近になって、ようやくこの優生手術などを強制的に、あるいは知らないうちに受けさせられた人たちが声をあげはじめました。
これまで優生手術を認めてきた国に対して、人権を守るために立ち上がり、たたかいはじめました。

日本は国連の「障害者権利条約」を守ると批准している国です。「障害者権利条約」というのは、障害のある人たちの権利を守ることについて国連で決めている国際条約です。障害者権利条約を守り、「ともに生きる社会」を実現するためには、どのような障害があっても、その人が望む暮らし方を選べるようにしなければなりません。

しかしながら、現実としては、見えないところで、「無意識レベルでの差別・偏見」があり、取り除いていかなければ、表立った差別・偏見に繋がる危険があります。

また、今回の事件でも多くの被害者家族が匿名を希望されていることから、障害者と共に生きる家族に対しても、「無意識レベルでの差別・偏見」が多々あります。このような社会は、「ともに生きる社会」とは言えません。

【ご参考】AbemaTVやまゆり園事件から考える報道のあり方:Yahooニュース

神奈川県が「ともに生きる社会かながわ憲章」にかかげている「私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します」を具体的に実現していくことは、大切な取り組みです。

NPOインフォメーションギャップバスターは「障害のある人や家族やすべての人とともに生きる」社会をつくるよう今後邁進してまいります。

▼事件発生時の声明

【声明】相模原市の障害者入所施設での事件について

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