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Information Gap Buster 特定非営利活動法人

イベント(1/21開催)「会議の上手な進め方」振り返り勉強会レポート


NPOインフォメーションギャップバスター(略称:IGB) にインターンシップとして参画している筑波大学大学院生 白川泰平さんによるレポートです。


2018年1月21日(日)は、前回(2017年7月15日(土))に行われた「ファシリテーションを支える会議の技術」に続いて2回目ということで、ファシリテーター吉岡弘貴氏が主な進行を務め、振り返りと初参加者とも情報交換を行いました。当日の様子をレポート致します。

私は会議に参加する中で、「自分の立ち振る舞いに悩んだり」「意見を出したいけどもう既に話し合ってるかもしれない」などの悩みを抱えていました。
「会議」というひとつのテーマにフォーカスしてみて、聴覚障害者がどう実践しているのか、キャリアアップするためにどのような工夫をしているのか、どのような悩みを共有しているのかが気になったため、前回参加していないにもかかわらず参加を決めました。

最初に、ファシリテーター吉岡弘貴氏と小谷野依久氏により、今回のイベントの主旨と目的を説明していただきました。そこで、「会議」をテーマとしたワークショップを開く前に、改めて「会議」の意味を考え、議論していくときに気をつけるべきことを確認しました。初参加者にもイメージが湧きやすく参加しやすい工夫がされていました。

 

次に、グループごとにチェックインを実施し、今の心情を吐き出し、チームの話しやすい雰囲気を作りました。そして、前回参加者は、前回講師 吉田創氏(株式会社Dialogic Consulting 代表取締役)のアドバイスとワークショップで得た知見を、今日までに会議の中でどう実践したか、新たな工夫が生まれたかを共有しました。

今回初めて参加された方は、会議での悩みを共有したうえで、聴覚障害者が会議に参加するためにはどのような工夫をすれば良いかを話し合いました。その際に、聴覚障害者の大きな悩みとして、情報が共有されていない面をしっかり見つめ、実際のワークではより共有していこうという雰囲気が表れていました。
グループワークでは、KPT(*1)という手法を使って、反省ではなく内省することで問題解決していくためのヒントを見つけていきます。

*1:KPTは、Keep/Problem/Tryの略で、「Keep=よかったこと」「Problem=悪かったこと」「Try=次に試すこと」の3つのフレームワークで考える方法。

参加者にはいろんな立場や環境で働いている方がいました。業種や部署によって会議のやり方が変わるところもあれば、似ている部分があるということを知りました。情報保障を導入しづらい環境の中でも、機材やネットの使い方、導入の仕方など様々で、お互いに他人のやり方を参考することで、より良い気づきを得たのではないでしょうか。

初参加のグループでは、Problem(問題、課題)の部分を中心に話し合い、またKeep(良い点、実践中)での意見を参考に、Try(チャレンジ、提案)に反映させるなどして、いろんな会社による特徴ある取り組みの話を聞くことができました。
前回参加された方は、よりKeepとProblemが具体的になり、Tryもより方向性が明確になり、解決に向かおうという姿勢が見られました。

特に心構えの部分やコミュニケーション力など、自分自身にフォーカスしていたのが印象的でした。それでも、やはり周りの理解を得るために創意工夫が必要なのだと思わせる発表でした。

またユニークな発想として、一年間の予算が1億円あったらという設定で、Tryの部分で、多くのアイディアを出し、その中で実現していくためにはどうすれば良いかという話し合いもありました。

 

後半は、グループとチームの違いをしっかり認識するために、チームビルディングを行いました。実際の講義では、チームが機能するために設定、心理的安全性、コミュニケーションにフォーカスし、どういうところに意識することが大事なのか事例をあげていました。ファシリテーターの吉岡氏が職場で実践している朝会とう取り組みの紹介がありました。

朝、チーム内でそれぞれがどこまで業務が進んでいるのかをポストイットを使って共有する取り組みです。
聴覚障害者が感じる情報の壁を壊すという効果があるそうです。
いつか、自分もプロジェクトチームが大きくなった時にそう言った方法を取り入れたいと思いました。

チームビルディングのグループワークでは、「マシュマロチャレンジ(*2)」というパスタとテープなど限られた道具を使って、マシュマロを高く置くというミッションを行いました。パスタは思ったより強度が弱く、完成イメージの共有が難しく、ミッションは悪戦苦闘しました。取り組むなかで、どう進めていけば良いか、聴覚障害の人がチームを引っ張るという経験が少ないせいか、迷いを感じました。特に、時間が迫っている時、指示待ちになってしまう人も見受けられました。慎重になりすぎた部分もあったのではないでしょうか。しかし、その中でもそれぞれが自らの立ち回りを考え出し、なんとかタワーを完成することができました。

*2:マシュマロ・チャレンジは乾麺のパスタ、テープ、ひも、マシュマロを使って自立可能なタワーを立て、最も高いタワーを作ったチームの優勝となるゲーム。

 

 

ワークを通し、チームとして立ち回るときに大切にしていくべきことに気づきました。
それは、日常の仕事の要素である目標、制限時間、リソースを使って、自分がチームにどのような影響を与えているのかを見極めるということです。

聴覚障害は会議に大きな壁をつくります。
しかし「その壁を乗り越えた時、その時は自分を守る砦になる。」
この言葉で勉強会を締めくくられました。

これから会議するにあたって、ぶち当たる壁を解決していくためにも、こうした情報交換やワークを通して、IGBで体系的に学んでいく必要があると感じました。

 

文責:白川泰平(IGBインターンシップ)

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