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Information Gap Buster 特定非営利活動法人

【ご報告】聴覚障害者の電話の利用の円滑化に関する基本的な方針に関する関係者ヒアリング出席の件


2020年9月10日(木)に総務省で開催された「聴覚障害者の電話の利用の円滑化に関する基本的な方針に関する関係者ヒアリング」に当事者団体として呼ばれ、以下の点をお話しさせていただきました。本ヒアリングには、高市 早苗総務大臣、木村 弥生総務大臣政務官、総務省、厚生労働省などの関係者が出席されていました。

出席者:伊藤 芳浩(NPOインフォメーションギャップバスター理事長)、山口タケシ(NPOインフォメーションギャップバスター理事)、安次嶺 剛(NPOインフォメーションギャップバスター 電話リレーサービス普及プロジェクト普及リーダー)

 

【以下、意見陳述内容をほぼそのまま掲載】

当団体は電話リレーサービスの必要性を認識し、2014年2月より電話リレーサービスの早期公的サービス化を要望する署名を集めて、2017年7月12日に8,096筆の署名を総務省に提出いたしました。6年かけてここまで来ることができて、また、ヒアリングにお呼びいただき、御礼を申し上げます。

本意見書はボリュームが多いため、ポイントに絞ってお話しさせていただきます。

まず、「ユーザビリティ ・アクセシビリティの確保」につきましては、これまで、電話リレーサービスの啓発のために全国30箇所以上講演してまいりましたが、いつも感じるのは、登録が複数のステップを踏む流れになっているため、途中で分からなくなって諦める方が非常に多くいるということです。なるべく登録の手続きはシンプルにしていただけるようお願いいたします。また、利用している時に、文字やビデオ画像のサイズの大きさを変更したり、位置を変更したりなどのカスタマイズの方法が分かりづらいという声も多く上がっていますので、配慮していただけるようお願いいたします。

また、「機能追加・改修が容易な柔軟性の確保」につきましては、今回のヒアリングに参加している理事の山口タケシさんのような中途失聴者や高齢者の方は、自分の生の声で電話をしたいというニーズがあります。そのような方は非常に多くいらっしゃるので、電話リレーサービスを多くの人に使っていただくためにも、是非とも音声を電話リレーサービスの中で使えるように、拡張性を持たせていただけるようにお願いいたします。

逆に、音声を発することができない場合は、文字で入力して、相手の音声を直接聞くこともできるように拡張性を持たせていただけるようにお願いいたします。

「電話リレーサービス対応拒否・理解不足への対応」につきましては、当団体のアンケートの結果、大きく分けて2つの問題が挙げられました。1つ目は、電話リレーサービスに対する社会全体の理解が不足しているため、電話リレーサービスを介して電話をかけるたびに、電話リレーサービスについても説明を求められることがあることです。10分から30分も事前説明のために待たされるため、なかなか本題に入れないことがあります。聞こえる人と対等に電話が使えるようにするためにも、是非とも社会全体の電話リレーサービスに対する理解向上のために、啓発をしていただけるようにお願いいたします。2つ目は、電話リレーサービスにおける本人確認の拒否の問題があります。例えば、クレジットカードを紛失した時に利用を停止したい時に、電話リレーサービスを介して電話をかけますが、オペレーターの声では認められず本人の声じゃないとダメと断られることがあります。多くの場合は、内規によってこれまでの慣習を受け継いでいて、特例を認めないために拒否されていると聞いています。これについては、合理的配慮という形で、電話リレーサービスについても本人の声と同等にしていただけるようお願いいたします。

「周知広報及び普及啓発事業の進め方」につきましては、普及・啓発事業に携わる自治体・団体などに対して、助成などを行っていただけるようお願いいたします。

「サービス提供義務・利用の公平性」につきましては、現状の日本財団が提供している電話リレーサービスでは、法人での登録が認められていません。このため、仕事で電話が使えず、様々な不便が生じています。会社支給のスマホなどでも電話リレーサービスを使って電話をかけることができるよう、法人での登録ができるようにお願いいたします。

「サービス提供の常時、双方向性」につきましては、時々電話リレーサービスが切れてしまうことがあります。そのような時は、用件をもう一度伝えなければならず、不便を強いられてしまいます。通信回線が切れることがないようにお願いいたします。番号につきましては、改めて説明をしなくても済むように私たちがいつも使っているスマホの電話番号がそのまま使えるようにお願いいたします。

「利用料金に係る事項」につきましては、電話リレーサービスのために徴収する料金は、誤解やクレームが生じないように、事前に国民にしっかりと説明していただけるようお願いいたします。

「緊急通報への対応」につきましては、2017年愛知県で起きた船舶事故のように位置情報がスムーズに伝わらなくて、救助に時間がかかることがないように、しっかりと関連機関に伝える仕組みをお願いいたします。また、NET110,NET118,NET119につきましては、並行して利用できるようお願いいたします。

「情報セキュリティの確保」につきましては、ユーザー側が自分でセキュリティ設定することを極力発生させないようにお願いいたします。

「電話リレーサービス水準の確保」につきましては、手話通訳者は他の言語通訳と比較して、地位が低く給料も安いと言われています。手話通訳者の地位向上と社会保障を充実させて、しっかりと確保していただけるよう、お願いいたします。

「利用の適正性の担保」につきましては、先ほど述べました通りですが、マイナンバーなどを活用することで、電話リレーサービス事業者が本人認証を行うといった方法を提案いたします。

「苦情処理等、適切な利用者対応」につきましては、当団体には、様々な方から電話リレーサービスを使用したところ、本人確認や手続きを拒否されたなどの相談が集まってきています。これらの相談をまとめて受け付けられる専門機関を設けていただくことをお願いいたします。

私どもの団体からは、以上となります。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

NPOインフォメーションギャップバスターから提出した意見書の全文は下記で参照できます。

聴覚障害者の電話の利用の円滑化に関する基本的な方針に関する関係者ヒアリング(総務省Webサイト)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/telephonerelay/index.html

【ご報告】電話リレーサービスを使用した本人確認の円滑化の要望

【ご報告】電話リレーサービスを使用した問い合わせ・手続きの円滑化・合理的配慮の要望

「電話リレーサービス法案(通称)」に関する意見書を提出いたしました

この記事のリンク | カテゴリ: お知らせ, 新着情報, 電話リレーサービス
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