「手話」に関する用語等についての見解
当団体について
特定非営利活動法人インフォメーションギャップバスター(略称:IGB)は、社会に広く存在している「コミュニケーションバリア」「情報バリア」の所在を明らかにし、バリアに対する認識と理解を人々に広めることで、【すべての人が尊重され、Win-Winとなれるような共生社会】を目指す団体です。
「コミュニケーションバリア」「情報バリア」の生じる原因の一つとして、相互理解の不十分さがあると考えています。その中には、言語としての「手話」に対する理解が不十分であることも含まれています。
そこで、今回は、「手話」に関する用語等について、IGBの現状の見解を表明させていただきます。
「手話」に関する現状の認識
「手話」は、主にろう者のコミュニティの中で受け継がれ、また、発展してきた手指や体の動き、表情などを総合的に活用して視覚的に表現する独自の文法体系を所有する言語です。
「手話」に関する用語については、長年、様々な議論がなされてきました。先日、文部科学省において平成7年以来四半世紀ぶりに改定された「聴覚障害教育の手引」においても同様の記載があり、「伝統的手話」「同時法的手話」「中間型手話」「日本手話」「日本語対応手話」「シムコム」「手指日本語」等の用語が挙げられています(「手話の捉え方」31ページ、用語については掲載順)。
そして、それ以前に、「聴覚障害者」「聞こえない人」「ろう者」「難聴者」「健聴者」「聞こえる人」「聴者」等の言葉についても、同様に様々な議論があります。
また、新しい動きもあります。例えば、「高校生手話スピーチコンテスト」では、昨年、第36回から「手話と声を同時に行う」というルールがなくなり、参加する高校生は、「手話と声を同時」だけでなく「手話のみ」も選択できるようになりました。
用語に関する見解
このような背景の下で、IGBは、聴覚障害、障害の有無の枠を超えて、社会全体の中に存在している「コミュニケーションバリア」「情報バリア」を扱う団体です。このミッションに基づいて、様々な団体と連携しており、身体障害、知的障害、精神障害、難病等の障害種別を超え、あらゆる障害種別を対象とし、障害者の地域生活、権利擁護、教育、雇用など様々な障害者問題に取り組んでいる障害者インターナショナル日本会議にも加盟して、障害の種別を超えた取り組みを継続しています。基本的姿勢として、【すべての人の立場を最大限に尊重し、様々な用語、議論の背景を理解しながら】共生社会を創り上げていくためのできるだけわかりやすい、多くの人が共有しやすい表現を目指して議論していきたいと考えております。
IGBとしては、基本的には、一般的に広く使用されている「手話」「聞こえない人」「聞こえる人」という表現を採用いたします。なお、IGBが関わった著作物、コラム等で、「手話言語」という表現を使用している場合もありますが、それは、発行主体の意向を尊重して、その時点の判断として、使用しております。
今回は、IGBの現段階における見解を表明いたしました。現段階の考えであることをご理解いただいた上で、今後、議論が深まっていくことを願います。
特定非営利活動法人インフォメーションギャップバスター 理事一同