総務省開催「電話リレーサービスに係るワーキンググループ」について
NPOインフォメーションギャップバスターは、2014年より電話リレーサービスの早期公的サービス化・24時間365日対応を求めて、署名を集めて総務省へ提出、講演・シンポジウム・展示会出展対応などで普及啓発活動をしてまいりました。また、聞こえない人・聞こえにくい人当事者、その関係者(通訳者、家族など)、電話応対企業などを啓発対象として、約6,550名(講演・シンポジウム:約550名、展示会:約6,000名へのチラシ・パンフレットの配布)へ普及啓発活動をしてまいりました。そして、日本財団より3年間助成をいただき、電話リレーサービス普及啓発活動を精力的に実施してまいりました。
その普及啓発活動の中で、2017年6月3日夜に、愛知県西尾市一色町沖の三河湾で転覆したプレジャーボートにつかまりながら「電話リレーサービス」を介して救命要請を出して助かるなど、命を助けられた事件がいくつか起きました。日本財団が実施する電話リレーサービスはあくまでも試行サービスであり、そのため緊急電話は対象外といった、いくつかの制限があり、聴覚障害者にとって、早期公的サービス化・24時間365日対応は悲願でした。
そして、総務省と厚生労働省の間で電話リレーサービスの責任主体が長い間不明確でしたが、2018年11月7日の参議院予算委員会質疑にて、安倍首相が「電話リレーサービスは重要な公共インフラであり、総務省総合通信基盤局が検討を受け持つ部門である」と答弁しており、それを受けて、2019年1月24日に、総務省総合通信基盤局が事務局の下、電話リレーサービスに係るワーキンググループが開設されたことは、歴史的な一歩を踏み出したと評価します。
しかしながら、現状は、電話リレーサービス開始までには、通訳の確保・養成、緊急通報などのサービスの範囲、費用負担など、課題が山積みであり、引き続き議論が必要です。また、総務省、厚生労働省、電気通信事業者、当事者団体、通訳者団体など全ての関係者の調整が必要です。
日本は電話網などのインフラの技術が世界トップレベルですが、実際にはバリアフリーでない面が世界と比べて遅れている面も多々あります。特に緊急電話が対応していないのは、G7では日本だけです。スマホで119番通報して、リアルタイムでコミュニケーションできるNET119は普及に課題があり、電話リレーサービスが一刻も早く緊急電話に対応することが求められてきています。今回を契機に、バリアがより一層解消されていくことを心から期待しています。
NPOインフォメーションギャップバスターとしては、次のような電話リレーサービスの実現を目指します。
・聞こえる人も聞こえない人・聞こえにくい人も公平に電話が使える
・聞こえる人と聞こえない人・聞こえにくい人と双方向のやりとりができる
・電話の公共インフラとしての性質を鑑み、全ての機会にアクセシブルになるようにする(何らの制限も設けないようにする)
現実的には、出来るところから始めるといった段階的なサポートとなることが想定されますが、従来と同様に関連団体・関係者と連携し、電話が公平に、双方向に、フルアクセシブルに使えるように粘り強く働きかけていく所以です。
引き続き、ご理解・ご支援のほどよろしくお願いいたします。